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「メンやば本かじり」笑い編1

 なんやねん、このタイトル。

 そんなツッコミを入れてくれた方、ありがとう。ようこそ、病んでる界へ。

 このたび「メンタルがやばいときは、本をひとかじり」というマガジンを作ってみた。

 なんで作ったかというと、わたくしのメンタルが激やばだからだ。

 やばすぎて、生きていく希望がほしいのかどうかもわからない。

 とか言っちゃっているわりには、平気そうな馬鹿面で日々生きているのだが。

 ああ、こんなときは本が読みたい。本の言葉たちに救われたい。

 だが、本を読む気力が……。

 そんなときのために、好きな本の一節を取りあげていこうと思う。

 著者たちは知の塊で、それはそれは大真面目な話をしているのに、なぜか笑えてしまう一節、心の支えとなってくれる素晴らしい一節、カタルシス的な一節、単純に私が好きな一節、台詞や設定が笑える小説の一節などなど。

 私の独断と偏見で、好きな一節を毎週紹介させてもらう。

 というわけで、第一回目『禅と日本文化』から、まさかの笑える一節。

ある禅師が、会衆の前に杖を持ち出し言い放つ。
「これを杖と呼んではならない。何と呼ぶか?」
誰かが聴衆の中から出てきて、師から杖を取り上げ、二つに折り、地面に投げる。こうなったのはすべて、禅師による非論理的な発言の結末だ。

『禅と日本文化』鈴木大拙 著


 引用するために入力しているだけで、笑ってしまった。

「いまから杖って言うの禁止な。ほれ、じゃ、これなーんだ」

 と、杖を掲げてくる相手から無言でぶん取り、膝を使い「てぇいっ」と折る、その勇姿よ。

「杖とよばせないなら、杖とよべないものにしてやろーか、おら」的な感じやろか。めっちゃおもろいやん。

 きっと聴衆は「うわーやべえ」ってな感じで静まり返っているだろうが、私がその場にいたら、笑いを堪えるのにぶるぶる震えてるやろな。

 ああ、想像するだけでなんかスッキリしたわ。

 ありがとう、鈴木大拙。


■書籍データ
『禅と日本文化』(角川ソフィア文庫) 鈴木大拙 著 碧海寿広 訳
難易度 ★★★★☆ 居住いを正して読むレベル

鈍器本と言えなくもない、約680ページにも及ぶ禅の書籍。わりと怯むレベル。禅を通して、俳句や剣術などについて書かれており、鈴木大拙の知が詰まっている。真面目に読めば、自分と向き合うための知の世界へ誘ってくれる素晴らしい書だ。
私としては、上記の引用以外に、自然愛の章にて、カーライルに「浮世離れしている」と叱責されたエマーソンが、確かに浮世離れした返答をしている部分もおすすめ。知が冴え渡っている言葉なんだけど、真顔で答えているエマーソンが目の前にいたら笑う自信がある。




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