映画に没入するための環境って大事よね
映画は大画面が良いだなんて言ってもさ、家で多くの作品を観られる昨今。家でだって感動できるもん。と思いつつ、あの大画面であの大音量の中、あの没入感を味わえる空間は貴重だ。
没入するには「途切れさせない」も大事な要素。
配達のピンポーンとか、家だと油断して我慢できないトイレとかもあるけどね。もっと細切れに。
私は今まで4本の映画を、細切れで観た経験がある。
一つは「ラ・ラ・ランド」。飛行機の中で初めて観て、本当はピンとこなかった。だって隣りの席では画面がフリーズしちゃった夫が泣き笑いの表情だし、CAさんが食事について話しかけてくるし、途中でイヤホンから直接、機長さんが割りこんでくるし。いえ、大事な話なので耳を傾けますがね。
その後、映画館で観なおしたら「こんなに良かったのか」と感動しましたとも。けっきょく気に入って何度も観たし、プロフィールでは大好きな映画として挙げている。
もう一つは「風と共に去りぬ」。ここで何度も書いてきた大学の先生が授業の余った時間に観せてくれた。
そう。余った時間に。
90分授業の中の15分ずつくらいだ。しかも毎回の授業ではなく、あくまでも余った時間に。なので、忘れた頃に続きを観る。いっそ大きく2回に分けたら良かったよね。尊敬しているから何度もここに書いてきた先生だけど、これだけは指摘したい。そんな観方のためか、あんなに名作だと言われているにも関わらず、そして簡単に感動しやすい私なのに、心が動かなかった。
さらに先生は「ザ・コミットメンツ」も紹介した。「すごく良かった」と言う。でも「風と共に去りぬ」以上に一回一回に観る期間が空いた。授業が優先だから仕方ないとは言え、まったく頭に入って来なかった。
しかも結末を知らない。
没入できなかったし気にならないまま。
書いていると気になってきたけど。
そしてもう一つが「ゴーストバスターズ」。
映画自体は40年ほど前の公開。私が観たのは35年ほど前の高校生の頃。
友達がビデオを借りていて、一緒に観ようと誘ってきた。
その友達も私も電車通学。学校の最寄りの駅から、反対方向で遠かったので、休みの日にも互いの家を行き来などしなかった。放課後は早く帰らなければならず(少しでも遅いと怒られちゃう厳しい家庭だった)、昼休みしかチャンスはない。
図書館で自由に使えるビデオデッキが何台かあり、それで観ることに。もう一人の友達と三人並んでヘッドホンを着け、小さな画面の前に座った。昼休みは、お弁当も食べなくてはいけないので、観る時間はせいぜい20分ずつくらい。
そんなわけで、印象に残らず。
ただ怖がりな私にとって、あちらのゴーストたちは可愛いものが多いのねとホッとしたのは覚えている。日本で言えば幽霊というより妖怪に近いのかも。
その後、何度も「ゴーストバスターズ」シリーズは出たけど観なかった。
今こそ、マーベル映画を観ていないのに新作を楽しめるのか、と心配で手が出ない人に自信を持って言える。
映画って、ちゃんとそれ単体で理解できるから!!
今回観た「ゴーストバスターズ フローズンサマー」。
前作の「ゴーストバスターズ アフターライフ」の子供たちが少し大きくなっているそうだ。40年ほど前の「ゴーストバスターズ」で活躍した面々も出ている。
観ていない作品たちと、覚えていない一作目だけど、ちゃんとストーリーを楽しめた。何より大画面で大音量で途切れないし。
映画のテイストを象徴するかのように、「アントマン」のポール・ラッドが終始軽くてコメディの雰囲気をかもしだしてくれる。「エターナルズ」のクメイル・ナンジアニとか。キンゴ役をした彼は、「エターナルズ」の酷評に心を痛めてカウンセリングにも通っていたそうだから、元気な様子を見られただけでうれしくなった。「エターナルズ」、私は全然嫌いじゃないけどね。これについては書き始めると長くなるのでまたの機会に。
あと主人公フィービーの母親役が、MCU(マーベルシネマティックユニバース)でプロキシマ・ミッドナイト役だったと知った時はひっくり返りそうになった。こんな魅力的な方だったのね。あと声に出して言いたい。「プロキシマ・ミッドナイト」。
ほかに、この前観た「僕らの世界が交わるまで」のフィン・ウルフハードや「マダムウェブ」のセレステ・オコナーなどを見ていると、若い俳優たちが育っていくんだなあとワクワクする。
ストーリーは単純明快。特に掘り下げたりもなく、軽くて、背景とか伝えたいこととか深みとか考えなくて良い映画。80年代はこんな映画が多かった。頭空っぽにして「楽しかったね」だけで終わる。最近(と言ってもここ20年くらいは私にとって最近)の映画のテイストもすごく好きだけど、80年代頃の映画のテイストも、また映画なのよ。
こんな軽い映画だから余計にその世界に入りこまないと、楽しみ切れない。感動だとか深みだとか何にどんな意味がとかを求めずに、ただその世界に入りこんで観るのも良いものだよ。