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【書評】長野の山に潜む恐怖の正体〜『ファントム・ピークス』(北林一光)

これは知る人ぞ知る名作です。作者の北林一光さんは残念ながら2006年にお亡くなりになりました。この『ファントム・ピークス』は宮部みゆきさんが絶賛しています。

※書評一覧の目次はこちら

1、内容・あらすじ

舞台は長野県安曇野。

主人公・三井周平の妻が山で行方不明に。半年後、遠く離れた場所で妻の頭蓋骨が発見されます。

三井は悲しみに暮れながらも、用心深かった妻に一体何があったのかと疑問を抱きます。

数週間後、沢で写真を撮っていた女子大生が行方不明に。捜索を行っていたまさにその時、今度は遊びに来ていた母親と幼い娘が行方不明になったと通報が。

その後、娘だけが発見されましたが、強い精神的ショックを受けたようで、放心状態で一言も口を利けない状態……。

相次ぐ異常事態に、地元の人々は「この山には何かがいる」と恐怖を抱き、そしてついにその正体が明かされます──。

2、私の感想

これは心臓の強い人向けです。私はこの本を読んだ後、謎の腹痛に襲われました……。

前半、次々と行方不明者が続出する様子は不気味でたまらず、怖いながらもページをめくる手が止められません。

そして後半になってようやくこの災厄の主である「あれ」が出てきます。

そこからはもうひたすらパニック。「もうやめて~」と言いながらも読んでしまいます。

人々が自衛隊の出動要請も検討するのですが、今の法律だと自衛隊もこの状況では何もできないそうで、人間にはなす術がありません。

昔から「あれ」に関しては似たような事件がたくさんあり、その度に人間は翻弄されてきました。

小説なので最後は何とかなりましたが、これが現実に起こったら一体どうしたらいいのだろう、と二重にも三重にも怖い小説でした。

3、こんな人にオススメ

・心臓の強い人
刺激の強い描写があります。好きな人は好きかと。

・サスペンスやホラーが好きな人
災厄の主が出てくるまで、不気味なBGMがずっと流れている感じです。

・山に登る人
こんなことはめったにないのでしょうが、教訓も込めて。

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