短編小説:立てこもり
「手塚康夫!おまえは完全に包囲されている。おとなしく出て来なさい!」
住宅街の民家の二階のバンと窓が開く。
「うるせえ!こいつ殺して俺も死ぬんだよ!」
手塚康夫は別れた妻の家を訪ね再婚を迫り断られた。更に元妻は彼氏もいることもわかった。その腹いせに元妻を殺して自分も死のうというのだ。外には数十名の警官と数十名の機動隊員がいた。
手塚は一年前に離婚した。原因は、彼の度重なる浮気だった。わずか半年の結婚生活のうちに8人もの女性と関係を持った。当然ながら妻は耐えることが出来なかった