ダブルブッキング川元文太

お笑いコンビ『ダブルブッキング』の川元文太です。 短編小説などを書いていきたいと思っています。

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お笑いコンビ『ダブルブッキング』の川元文太です。 短編小説などを書いていきたいと思っています。

最近の記事

短編小説:立てこもり

「手塚康夫!おまえは完全に包囲されている。おとなしく出て来なさい!」 住宅街の民家の二階のバンと窓が開く。 「うるせえ!こいつ殺して俺も死ぬんだよ!」 手塚康夫は別れた妻の家を訪ね再婚を迫り断られた。更に元妻は彼氏もいることもわかった。その腹いせに元妻を殺して自分も死のうというのだ。外には数十名の警官と数十名の機動隊員がいた。 手塚は一年前に離婚した。原因は、彼の度重なる浮気だった。わずか半年の結婚生活のうちに8人もの女性と関係を持った。当然ながら妻は耐えることが出来なかった

    • 短編小説:剣士

      山田雅春は生粋の剣士。3歳から剣道を習い始め、めきめきと力をつけた。5歳の時には小学生の高学年を打ち負かす程の実力を身に付けていた。 雅春は小学校に上がる頃には、父親の勧めもあり、防具一式を外さなくなった。面も被ったままだ。入学式も遠足も運動会も防具を付けたままだ。入学してすぐに学校で問題になったが、彼の剣道の才能と両親の熱意で防具着用を認められた。 自宅でも防具一式を外すことはない。食事は面の隙間から食べ、風呂は足を洗うだけ、寝るときは竹刀を枕元に置いてそのまま眠る。 入学

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      • 短編小説:走馬灯

        青木久雄、43歳フリーター。週5日深夜のファミレスでアルバイトをして生計を立てている。 休みの日は、どこに出かけるわけでもなく、築40年の木造アパートの自室でだらりと過ごす。 青木は、しょっちゅう、こんなボロボロの汚ないアパートが自分より年下だと思うと、何とも言えない嫌な気持ちを抱いていた。 ある休みの日、いつものように夕方に起き、見もしないテレビをつけた。見慣れた人達がどこかで見たことのあるやりとりをして、はしゃいでいる。それを何となく聞きながら、万年床に寝転び、木が腐って