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大河「光る君へ」(15)おごれる者たち

 突貫な福井旅から帰ってすぐの大河。最近は日曜八時近くなると家族が皆そっとテレビの前を空けてくれる笑。
 しかし月曜はよんどころない所用があり草むしりと掃除アンド立ち会いで日中ほぼ潰れ流石に書けず。火曜日もまたまたよんどころない所用がありで夕方まで外出。よんどころない所用多すぎ問題。いつも暇なのに重なる時は重なるんよね。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえ右近ちゃーん!」
右「なあに侍従ちゃん。久々に目にハートが飛びかってるわね」
侍「ヤダわかっちゃうー?!だってさあ道綱くんのアレ、かんっぜんに空蝉巻のオマージュじゃん?アタシなんだかキューンと来ちゃってー!」
右「ハア?全くの真逆な対応じゃなかった?間違ったまでは同じでも、王子はこの子(軒端の荻)も可愛いしまあいっか⭐︎誰も俺を止められないぜGOGO!だったじゃん」
侍「わかってないなぁ右近ちゃん。だからこそよ。ツッナーはさぁ、いっきなり確認もせずガバーっと来ておきながらアレ?まひろちゃんじゃなーい!ってあからさまにアワアワ、挙句に名前まで間違えて碌な言い訳もせずそそくさ帰るとか、サイテーオブサイテー!!!だったじゃん?それにひきかえ、人違いと分かっても一切相手に気取らせず・以前から君に恋してたよ♡(大嘘)・めくるめく甘い一夜・一生の良い思い出♡に持ってった、ヒカル王子のキラキラ☆オーラがどんだけ半端ないか!どんだけパーフェクトな神対応だったか!骨身に沁みるってもんじゃなーい?さすがはこの侍従ちゃんの永遠の推しよ(えっへん)」(ひかるのきみ「空蝉(二)」ご参考にどぞ)
右「回りくどいわねえ。まあでも確かに対照的よね、ツッナー(笑)と王子じゃ」
侍「でっしょー!やっぱり滅多にお目にかかれない、千年に一度のパーフェクトイケメンよ王子は!イエー!」
少「侍従さんの推し語りアツいですわ。でも今日ばかりは私こそ一番という自負がありましてよ。壊れかけた道兼さまのあのおいたわしい、傷ついた小鳥のようなお姿には胸を絞めつけられました……子供のように泣きじゃくり打ちひしがれながらの、あの匂い立つような艶にはドキドキが止まりません。彼こそまさに推しの中の推しですわ……!」
王「情熱溢れるコメントねえ。侍従ちゃんも少納言さんも羨ましいわ。私は最推しだった兼家さまがもういないし、最後のイケオジ左大臣さまも亡くなられたしでションボリよ」
右「いやいや王命婦さん、私も推しいないから今。それ以外のとこで頑張りましょうね(何を)。そういや侍従ちゃん、道長くんはどうしたのよ。今回も弓くらべだか賭弓のりゆみだかの見せ場あったじゃない」
侍「えー、もっちろん道長くんは道長くんで好きよん。平安装束の似合いっぷりはマジでダントツだと思う!だけどさーアタシにとってはヒカル王子の方がリアル推しであって、道長くんは二次元なのよね。ほらーアタシも源氏物語の中のヒトだからぁ」
右「ごめんちょっと何言ってるのかわからないわ……」
王「それはともかくとして弓くらべの場面は中々示唆に富んでたわね。身内ばかりを引き立てる道隆さまの独裁っぷりに誰も何も言えない。たわいもないお遊びでさえまともに勝負できないほど。若い伊周これちかさまが天狗になっちゃうのは仕方ないにしても、あのタイミングで無粋に止めた道隆さまも大概よね。兄弟といえどもバッチバチに政敵と看做みなしてるのバレバレじゃない。やっぱり器が違うわね兼家さまとは(溜息)」
少「道隆さま、以前道兼さまに『ずっと一緒だ』と仰っておられましたよね。だけど実際に寄り添われていたのは道長さまで」
右「言葉が軽いのよ道隆さまは。日の当たるところだけ歩いてきた真のボンって感じ。後ろからそっとついてくる影にはまったく気を留めてない。誰でも吞み込まれるのにね、いつかは」
侍「ヒエッ……いつかはっていつ?!」
王「割とすぐね(アッサリ)」
少「そう遠くはございませんわ……」

 道隆の「我が世の春」、早や翳りが見えてきました。しかしその「影」に気づくのはもう少し先(でも近い)。
 それはともかく今回もまひろとききょうの仲良し描写、微笑ましかったですね。清少納言が気軽に紫式部の家に遊びに来てお菓子パクつきながらお喋りとか、ねえどこの天国よこれ?もちろん史実じゃない、そんな記録はどこにもない。だけど二人ともに、同じ平安時代・同じ貴族社会を生きた人には違いない。きっと意識はしてたはず、お互いに「自分には書けないものを書いてる」女性、として。
 そして中宮定子との初お目見え、「清少納言」爆誕のシーンも素晴らしかったですね。アレはもう恋です恋。まさしくハートをズキュンと射貫かれた顔でした(サマーウイカさんすごい!)。
 これとて明確な「史実」ではないにせよ、ドラマとしてここまでインパクトある場面にするほどの「枕草子」世界なわけですよ。美しく賢く、帝のご寵愛もめでたいパーフェクトな女主を取り巻く、選りすぐられた女房達。来週はその「夢の世界」が映像として再現されるわけですね。超楽しみです。
 一方「私は一歩も進んでいない」と凹むまひろ。さわに誘われた石山詣でであの「蜻蛉日記」の作者に出会い、
「書くことで己の苦しみを救う」
 という言葉を貰う。石山寺は「紫式部が源氏物語の着想を得た」という伝説が残っている場所です。道綱母と顔を合わせたという記録はありませんが、これもまた清少納言のそれと同じ方式。こういう形で紫式部の脳内に存在したであろう人々を動かしてみせる脚本、実に大胆です。下手をすれば、こんなこと絶対ありえない!と観る人が白けてしまう可能性だってある。
 実際、史実の合間を埋めるエピソードはほとんど全部フィクション、荒唐無稽といってもいい筋立てなのに、なんでしょうこの納得感……白けるどころか、素直に嬉しい!楽しい!好き!ってなる。呼び名と作品しか知らない人々が生きて動いているのが実に良きです。
 Twitter(x)上でも毎週のように平安ネタがトレンドに上がり、来週はいよいよアレですよアレ。教科書にも載ってる清少納言のアレ。古典要らないなんて誰が言った?これほど多くの人が共通の知識を持ち、盛り上がることができるってすごいことじゃないですか。人生は面白く思えることが多い方が勝ちですわ!
 というわけで来週も楽しみです。個人的には倫子さまが気になって夜しか眠れません(怖)。
<つづく>

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。