記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

大河「光る君へ」(31)月の下で

 やれやれやっとお盆休みも終わり、久々の大河♡とテレビの前に陣取りましたら来ましたね!来ました!「いづれの御時にか」!!!しかも大量の越前和紙も出演という大大大サービス!!!いやもう本当に、この大河を作ってくれてありがとうです。というか「源氏物語」を書いてくれた紫式部さま、「源氏物語」を愛して残して繋いでくれた名もなきファンの皆様に大大大感謝の巻です!!!
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえねえ右近ちゃあーーん!」
右「なあに侍従ちゃん。まあわかるわその反応。一週空けて重量級ぶっこんできたもんね」
侍「それよそれ!メガトン爆弾大炸裂う!みたいな!!!道長くんとまひろちゃんのツーショットだって、ここまで多いのもしかして初めてじゃなーい?そ・の・上!『源氏物語』爆誕!デッショー?!これはもうアガるっきゃないっ!!!」
右「カラフルな紙がひらひら舞い降りてくるあのシーン良かったわね。まさに『天から下りてくるインスピレーション』ってやつ。まひろちゃんがすっかり『作家の顔』になってたのも感動的だった。月のシーンも泣けたわ……『おかしきことこそめでたけれ』で(泣)」
少「右近さん、私もしんみりしました……信秀さまのことをああしてお話できるほどお二人も大人になられたのだと。ただ、道長さまの方は今なおまひろさんが心の拠り所で、どうにかお気持ちを抑え込んでいるといったご様子に思えました」
王「同じ月を観ている誰かってまひろちゃんのことだものね。ずっとお前のことを想い続けていた、っていうかなり熱烈な愛の告白だけど、まひろちゃんはもうすっかり別世界に飛んでってしまった。道長くんの手の届かない創作の世界に」
侍「かぐや姫じゃんまひろちゃん!超絶高級な越前和紙もドッサリ貢がせるし!」
右「でもそういう、どうしても捕まえられないまひろちゃんだからこそ道長くんはずっと惚れてるわけよ。倫子さまや明子さまじゃなくまひろちゃんじゃなきゃダメな理由がそこ」
王「まあぶっちゃけ生活を共にしてない未亡人の元カノって、一番気楽っちゃ気楽よ。非日常だもの」
侍「道長くん、まひろちゃん家でめっちゃリラックスしてたもんね。賢子ちゃんも気軽にお膝に乗せちゃったりさーうらやま!」
右「わが子かも?って意識があるのかないのかわかんないけど、何にしちょっと距離近すぎよね。いとさんとか乙丸とか真顔になってたじゃん」
少「私、若紫の姫とヒカルさまのご様子を思い出してちょっと泣けました。とはいえ倫子さまも明子さまもお気の毒ですわ。お子様を心配する余りのお振舞いですのに……まひろさんへの想いと同じとはいかなくても、もう少しお二人とそのお子様がたにお心を寄せられてもよろしいかと」
王「一応、彰子ちゃんに愛情ないわけでもないみたいだけど、あの『お年頃の娘にどう接していいかわからない父』的なギクシャク感なんとかならないのかしら」
侍「あーそれアタシも思った!帝よりまず父が喋れてないやんって(笑)まあそこがカワイイんだけど道長くん」
右「なんだかんだ大人になりきれてないっつうか、特にまひろちゃんの前だと三郎に戻っちゃうっぽい。次回遂に倫子さまにバレそうだし、さあどうする道長ア!」
侍「右近ちゃんメッチャ嬉しそうジャン!アタシも楽しみヒャッホウ!」
右「侍従ちゃん道長くん推しなんじゃなかったの……」
王「仲良しの公任さま繋がりで~とか適当に誤魔化せなくもないんだけど、道長くん目が泳いじゃうものね。まして倫子さまじゃ無理。最初から負け戦確定」
少「来週も楽しみですわねウフフ♡」

 以前の「枕草子」同様、今回も感動しましたね……「源氏物語」の誕生。勿論そこまでのいきさつも始まり方もすべてフィクションだと承知してはいるんですが、紙の上に「い」のひと文字が載る瞬間を目にすることのインパクトといいましたらもう。想像を遥かに超えておりました。
 そして紙の供給問題。「源氏物語」があれほど長編になった/できたのは、いくらでも使っていいぞ!的な供給元があったからこそ。道長というパトロンなしに「源氏物語」は生まれなかった。これをドラマで再現したのは大きな意味がある気がします。未だに道長と紫式部の恋仲説には与さない私ではありますが、もうどっちでもええわと思えるほど今回の表現は素晴らしかった。まひろは道長への恋心ゆえに書き始めたわけじゃないんですよね。あの月の下、まひろの目にはもう道長は映っていない。そこにあるのはただ創作者としての自覚と湧き上がる情熱。生身の男には手の届かない別世界の「かぐや姫」となったまひろの筆からは、誰もみたことのない物語が次々と生まれ出でる。「絵合」巻にて「かぐや姫は物語の原点」と綴った紫式部とここでシンクロしますかー!と鳥肌立ちました。吉高さん、マジでこの世ならぬものを見てたよ……なんでこんな演技ができるんだ。役者さんって本当すごい。

 ところでこの「いづれの御時にか」の原稿より前、中宮さまにと書いた草稿の内容が気になる。道長がクスっとしてたということは「帚木」の雨夜の品定め?いや心当たりある会話ならばクスっじゃなくヒエってなるか。夏という文字が見えたけど空蝉?お若い中宮様には向かないかしら。和泉式部には受けそうだけど(←)うーん謎は深まる。つか実際ボツになった原稿も山ほどあったんだろうな。
 さて次回はいよいよまひろ初の宮仕え。紫式部(藤式部?)爆誕ですね。彰子との関係がどうなるか、「源氏物語」がどんな感じで流行っていくのか、まだまだ楽しみが尽きません。
<つづく>

 


「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。