まるで言葉の白魔術師。
『マリアさま』
(作:いしいしんじ)
という短編小説集を読みました。
神話のような、少し不思議な物語の数々。
短編とは思えないほど、まるでバターのように、どれも濃厚で。
もちろん良質なバター。
栄養として全身に行き渡る。正しく。
心地よい。
そう。心の栄養。
五感が冴える。
視界が明瞭になり、いろいろな音に気付けるようにもなった気がする。
心がほぐれる。
顔がやわらいでいく。
ああ、贅沢な時間。
帯の江國さんの言うとおり、本当に融通無碍で、物語のそれぞれに世界観があった。