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読書記録「人類は衰退しました」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、田中ロミオさんの「人類は衰退しました」ガガガ文庫(小学館)(2011年) です!
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・あらすじ
一昔前は小粋に戦争なんかしちゃっていた人類ですが、数世紀経った今では、人類はゆるやかな衰退を迎えています。
かつては81億を超えた人類も、すでに億はいません。国家は崩壊し、文明レベルも下がっています。もう長くないですね。
そんな私たち(旧人類)に代わって、今地球を支配しているのは、妖精さんです。
平均身長は10センチ程度。高度な知能を持ち、お菓子が大好き。極めて俊敏ですが、失禁癖があります。
しかし、それらは妖精さんの性格に過ぎません。彼らがどこで生まれ、何を目的としているのか、定かではありません。
そんな「わたし」は大学を卒業後、国際公務員である調停官として、旧人類と新人類(妖精さん)の間を取り持つ仕事をしています。
もっとも、仕事と言っても名ばかりで、妖精さんたちを観察しているだけですが……。
実家から歩いて行ける距離にある古本屋さん(去年閉店したところではない)にて、1冊100円コーナーに並んでいた本。
アニメはリアルタイムで見ていたが、そう言えば原作の小説は読んでいなかったと。
5巻くらいまで買い占めちゃうのもありかと考えたが、まずは1巻を読んでから決めようと思った次第。
別にこの本から何か学びを得ようというわけではなく、ただ単純に読書を楽しむために読んだ感覚に近い。
唯一、この本から学んだことがあるとしたら、楽しさというものは、醸し出されるものであること。
楽しさというものは、同じ状況を作ったからといって完全に再現されるものではないのです。目には見えないうねりが最高潮に達した時、はじめて立ち現れる刹那の楽しさ。彼ら妖精種が好むのはそうした貴重な一滴なのでしょう。
いい作品は何度読んでも面白いという考え方もあるが、そこには「いい作品だ」と思える、何か目に見えないうねりがあるのかもしれない。
いやはや、それにしても懐かしい。
帯には「7月よりTVアニメ!」とデカデカと記載されているが、左下に小さく2012年と書かれている。
当時リアルタイムでアニメを見たのが、もう10年以上前の作品であることに驚きを隠せない。そして、結構内容を忘れている。
人類が衰退した先の未来を描いているから、ディストピアとも捉えられなくもない。
目が覚めたならきみが笑ってそんな世界が続くと思ってた
当たり前には少し足りない歪んだ視界から見えた青い夜
nano.RIPE「リアルワールド」より
ただ、それ以上にコミカルな要素が多い。
正直、まだ1巻しか読んでいないためなんとも言えないのだが、人類は衰退することをあまりに受け入れすぎている。
まぁ伊坂幸太郎さんの「終末のフール」のように、人類が滅亡すると腑に落ちたら、案外落ち着いていられるものかもしれない。
その上、私たち旧人類に代わり、世界に数百億は存在しているとされる妖精さんたちも、謎だらけである。
その存在の起源も定かではなく、いつ頃から地球上に現れたのか、記録も失われてしまっています(電子情報の脆弱性を述べる)。
もしかしたら、すでに我々の近くにもいるのかもしれない……。
なんてね。まだ近所の古本屋に残っているかしらん。それではまた次回!
・あとがき(追記)
余談だが、1月28日付けで、人類最後の日を告げる「世界終末時計」が1秒進み、残り89秒になったらしい。
それでいうと、この世界は残り2秒くらいの人類を描いているかもしれないが、そんなにうまく衰退していくものなのだろうかね。
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