必死に生きる
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
昨日は特に予定がなく、どこで時間を潰そうかと贅沢な悩みをしつつ、そうだ久々に映画でも観ようと思った次第。
池袋の新文芸坐。『ショーシャンクの空に』がデジタルリマスター版で上映されるとのこと。せっかくなので観に行った。
・あらすじ
元々銀行の副頭取を務めていた主人公 アンドリュー・デュフレーン (アンディ)。彼は浮気をしていた妻と愛人を殺害した容疑でショーシャンク刑務所に収監される。
刑務所にはすでに殺人罪で数十年服役中のレッドという男がいる。彼はシャバから煙草や娯楽品などを入手する「調達屋」として有名である。
刑務所で孤立していたアンディはレッドに「ロックハンマー」が欲しいと依頼する。そこから二人の友情が徐々に芽生えていく。
劣悪なショーシャンク刑務所での生活。受刑者同士のいじめや刑務官からの暴行、そして署長から不正会計の片棒を担がされるアンディ。
刑務所での日々を舞台に、友情とは、生きることとは何かを問いかけてくれる名作。
映画を観ていて思ったことは、主人公の不可解な行動が目についたこと。
今のところブタ箱にぶち込まれたことはないが、刑務所では何より規律を重んじるところらしい(無論映画故に過激な表現も多いが)。
そんな場で刑務官に逆らったり、悪態を吐くことがどんな結果をもたらすかは目に見えている。
特にアンディが刑務所全域の構内放送でレコードを流すシーンは美しくもあるが、なぜそんな真似をしたのかと疑問も残る。
だが極限状態において、正気の沙汰ではない行動が、正気を保つために必要だったのではないかと考える。
映画の中で、アンディはレッドに対してこんな言葉を語りかける。
話が少し逸れるが、最近になって村田沙耶香さんの「コンビニ人間」の気持ちがよくわかる。
社会の中では生きづらいけれども、コンビニ人間として、仕事の中では模範的に生きることができる。
仕事をしている間は○○会社の△△担当者として生きられるが、会社を出た途端ただの人であることに気づく。
刑務所で何年も過ごすと塀の外の世界が恐ろしいと思うらしい。刑務所という狭いコミュニティにおいては有名であっても、外に出たら"元受刑者"である。
その時に生きることに必死になれるか、それとも死ぬことに必死になるか。
何がなんでも生きてやる、こういう気持ちは無意識のうちには思えないもの。
いつもと同じ生活を続けていく中では、生きることに必死になれない。
先日読んだ「夜と霧」のように、未来に希望を持てるかどうかが鍵となる。
作中のアンディのように、正気を保つために正気の沙汰ではないことを少しづつ行う。それが希望に繋がることがわかっているならば、必死に生きようとできる。
だが、恐ろしいことに死ぬことも未来に希望を持つことと捉えられる。
まずは生きてみよう。必死に。それではまた次回!