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読書記録「僕の狂ったフェミ彼女」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、ミン・ジヒョンの「僕の狂ったフェミ彼女」イースト・プレス (2022)です!
![](https://assets.st-note.com/img/1717588006589-46xW5Z1goO.jpg?width=1200)
・あらすじ
別れた彼女と再会したのは、男女差別やフェミニズムのデモで殺気立つ普信閣の交差点だった。
大学時代、インターンシップで米国に1年滞在することになった僕(キム・スンジュン)を、彼女は許さなかった。一方的に別れのメールを受け取り、これから2度と出会うこともないだろうと思っていた。
4年後、偶然にも再会した彼女は、非婚主義で男女平等社会を訴える「フェミニスト」に変わっていた(彼女は何も変わっていないと主張しているが)。
だが、僕は彼女との愛を諦めきれてなかった。かつては心の底から愛し合ったのだ、恋人同士になれば、いずれ彼女のほうが心を入れ替えてくれると。
こうして、僕と彼女の交際は始まるのだが、二人の関係は結ばれるどころか、いくつもの亀裂が生まれるばかりであった……。
東京読書倶楽部の読書会でも、フェミニズムや男性特権に関する書籍を紹介される方は少なくない。この本を直接紹介されたわけではないが、タイトルに引かれて紐解いた次第。
あらかじめ伝えておくと、今まで私は、性別に関するいくつかの問題提起に関して「気にしない」というスタンスだった。
しかし、イ・ミンギョンの「私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない」タバブックスを読んだときに、お恥ずかしながら冒頭からハッとしたことがある。
「別に気にしない」というスタンスは、裏を返すと、「今まで性別に関することを、気にしないで生きてこれた」だけだった可能性もあったのだと。
気にしないで生きてこれたくらい、差別を感じなかっただけなのだと。
ニュースにあふれてることが、自分の身に起こったこととか、いつか起こるかもしれないことなんだよ。……女にとってこれは避けようと思って避けられるものじゃないの。空気みたいなものなんだよ
経験談として、一つ前の会社で事務職として採用された際のこと。退職前の最終面談の際に、なぜ私を採用したのかについて、当時の上司から伺ったことは、正直耳を疑った。
当時、私の他にもう1人面接を受けていた方がいたらしい。能力的にはほとんど同じで、その人が言うに、違いは男性か女性かぐらいしかなかったと。
それで結局私が選ばれたのだが、その理由は「未払金の件で電話対応するときに、女よりも男の方が強く出れるから(威圧感を与えられる的な?)」だったのだと言う。
どこまで本気だったは分からないが、つまるところ、私が採用されたのは、「川口竜也」を選びたかったというよりは、「男性」を採用したいだけだったのだと。
人によっては、この判断は「合理的だ」と言うかもしれない。ただ、当の本人にとっては、採用されようがされまいが、気持ちの良いものではない。
これと全く同じではないにせよ、似たようなやりとりが作中でもあったのは印象的だった。
「僕の彼女だよ」大したことでもないのに、いざ口に出してみると感慨深かった。いつかは「奥さんだよ」といえる日も来るのかな?そんな事を考えて一人で満足していると、彼女が僕を指して言った。「私の彼氏です」
きっと当時の上司も、川口竜也ではなく、事務職の人くらいに思っていたのだろうと。
残念ながら性による差別は存在する。それは紛れもなく事実である。
以前、西加奈子さんの「わたしに会いたい」集英社を読んだときも思ったのだが、女性だから・男性だから云々という固定観念は、これまで生きていく中で染み込みすぎてしまっている節がある。
作中でも語られる主題ではあるが、どんなに頑張っても、人を変えること(理解させようとする)は難しい。
最初から拒絶しようとしている人に、理解させようとすることは、どんな内容であっても骨が折れるし、徒労に終わるのは目に見えている。
「理解させるためにがんばる」ということには矛盾があります。理解はもともと、してもらうことではなく、することだからです。
相手のことを理解しようと努めることができるのは、それを理解しようと思える人である。
それゆえに、何も知らないからこそ、少しでも知りたいと思うものではなかろうか。
「さっき本を読んでいるのを見てて、世の中が変えられなくても、スンジュンは変えられるかもって気がしたのにな」
何も知らないくせに、と言われたら、ごもっともなのだけれども。こうやって、少しづつ、世界を広げていきたい。それではまた次回!
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