読書記録「ホワイトハウス」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、景山民夫さんの「ホワイトハウス」角川書店 (1997) です!
・あらすじ
栃木県那須塩原駅から車で約1時間ほどの山荘は、斉木にとって「立地はともかく建築物としては申し分ない」物件と思われた。
外装を白色のペンキで塗られた一軒家。無垢材のフローリングやドイツ製のシステムキッチンに、薪ストーブの暖炉が2つなど、インテリアへのこだわりが見える。
ガーデニングも好きな家族だったのだろう。大きな庭にはブルーベリーの生け垣、建物南側にはガラス張りのサンルームがあった。
玄関や水回りは1階と2階で別に設けられている。もともと家を建てた施主が二世帯住宅として住む予定だったが、旦那が交通事故で亡くなり、そのまま売りに出したのだという。
チムニー(暖炉の煙突)2本の白ペンキ塗り住宅を、斉木は「ホワイトハウス」と名付け、物書きの場として借りることにした。
東京での生活に疲れた斉木にとって、那須塩原の自然豊かな気候、騒々しさとは無縁の空気、忙しなさを感じない仕事場だった。
夜は暖炉に火を入れ、薪の燃える様子はまさにテレビいらず。見るたびに形を変える炎を眺めて、ついうたた寝をしてしまった。
夢見心地の中、何者かが斉木に話かけてきた。「ハヤクオハナヲウエヨウヨ」と。
徐々に明かされる「ホワイトハウス」の真実。この家で一体何が起こったのか。
会社の先輩から、「川口さんはあまりホラー小説がお好きでないと聞いたので、あまり怖くない作品で僕の好きな作家を」と1冊頂いたのをきっかけに紐解いた次第。
お恥ずかしながらホラー系の作品が苦手である。単純に怖いものを見ると、夜寝れなくなっちゃいそうだし。「小学生か」と言われそうだが。
ただ今回頂いた本は、「勝手に物が動いたり、異音が鳴り響くタイプだから」と、かなりハードルを下げてもらった流れがある。
いわゆるポルターガイスト系の作品かなと思ったが、むしろ「ほっこり」するシーンのほうが多い印象を受けた。
と言うのも、(ネタバレになるが)、斉木に対して何者かが話しかけたり、仕舞いには料理を準備してくれるのは、妖精である。
お花にはお花の妖精が宿り、暖炉には火の妖精、お勝手には家事が好きな妖精がいるのだという。
そのフェアリーたちがまぁ可愛いわけでしてね。斉木のことを追い出すどころか、とても仲良くなっちゃうの。
最初こそ「俺は頭がおかしくなったかもしれない」と自分を疑うも、わりと「困っているわけではないからな」と早めに受け入れる精神は見習いたい。
だとしたら、この作品のホラー要素は何か(一応「角川ホラー文庫」である)。
言ってしまうと、そこに住まう悪霊である。妖精とは異なる、別の存在がホワイトハウスに居座っている。
私はあまり悪霊などの類に詳しくないのだが、いてもおかしくはないだろうなとは考える派の一人ではある。
話は飛躍するが、ファミコンのゲームにもなった「スウィートホーム」という映画がある。
その中で、「心の力を私にください」というセリフと伴に、強大な敵(間宮夫人)に立ち向かうシーンがある。
ホラー作品にかぎらず、恐怖とは己自身との戦いでもあるからだ。
こうして少しづつ、ホラー作品への恐怖心を軽減していきたいものである。
もっとたくさんの物語を紐解くためにもね。それではまた次回!