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人生は映画のようにはいかないが
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
週末の予定を読書会以外に立てていない人。土曜日の読書会が終わったら、さて残りの休日は何をしようかん。
そんなふうに迷った日は、映画を観に行くに限る。
池袋は新文芸坐にて、「ニュー・シネマ・パラダイス」が上映されていたので、観に行ってきた次第。
シチリアの小さな村を舞台に映写技師と少年の心あたたまる交流を、あふれる映画愛とともに描いた不朽の名作。
映画監督として成功をおさめたサルバトーレのもとに、老いたアルフレードの死の知らせが届く。彼の脳裏に、「トト」と呼ばれた少年時代や多くの時間を過ごした「パラダイス座」、映写技師アルフレードとの友情がよみがえってくる。
お恥ずかしながら、本作を観るのはこれが初めてである。
図書館の視聴覚コーナーにもあったのに、結局、この歳になるまで観ていなかった。
映画を通じて信頼関係を築いた少年と、映写技師のおじさんとの心温まる物語。
案の定、ラストは大号泣であった。
当時はもちろんテレビもスマホもない時代。娯楽を得るのも、情報を得るのも映画館だっただろう。
最近は、動画配信サービスで何でも観れるものかもしれない。
会社には、映画の話をすると真っ先に「Netflixにあるかな?」と語る先輩もいる。
けれども、やはり映画は「映画館」で観るのが一番だと思う。
映画だけに集中できるから、というのもあるけれども、映画館で観る事自体に、思い出が重なるものではあるまいか。
きっと幼きトトにとっても、映画館はなんと広い世界を見せてくれただろうか。
本作の趣旨とは逸れるが、子供の頃に観た映画は、案外記憶に残っているものである。
ハンカチが濡れるほど感動した「子ぎつねヘレン」。兄ちゃんと少しだけ仲良くなった気がした「ザスーラ」。父さんのビデオで観た「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
断片的にしか覚えていないものもある。
だけど、少なからず、私という人間を作り上げた1つの作品だと言いたい。
しかし、大人になると、現実はその時観た映画のようにうまく行かないものだと知る。
大人になり、色恋沙汰で葛藤するサルバトーレ(トト)。銀行に勤める厳格な彼女の父は、二人の恋愛を快く思っていなかった。
そして、突然二人の間を引き離す出来事が起こる。失意の底のサルバトーレに対して、アルフレードはこう語りかける。
人生は映画のようにはいかない。人生はもっと難しい。
アルフレードの言葉より
あの頃観ていた作品は、ハッピーエンドが多かった。
そりゃ子ども向けに作られた映画である。最後は「いつまでも幸せに暮らしました」で幕を閉じるものばかりだった。
それがいつからか、必ずしもハッピーエンドで終わらない作品も観るようになった。
そして、それを受け入れている自分もいる。そう簡単に幸せな結末は迎えないよなと。
だけど、、、それで本当にいいのだろうか?
自分の人生もまた、映画のようにはならないからと、諦めてしまってもいいのだろうか。
選んだ道を愛するんだ。幼かった頃のお前が映写室を愛したように。
アルフレードの言葉より
悪を滅ぼすこととか、何かしらの大成功を収めることだけが、ハッピーエンドではない。
世界の平和のために戦うだとか、地球に衝突する隕石を核爆弾で軌道を逸らすだとか、そんな立派なことを成し遂げられる気もない。
ただ、自分の人生の幕を閉じる時に、「FIN」が流れるくらいには、生きててよかったと思えるような終幕を迎えたい。
そのためにも、もっと名作と呼ばれる作品を観たいものである。それではまた次回!
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