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読書記録「たのしいムーミン一家」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、トーベ・ヤンソン 山室静訳「たのしいムーミン一家」講談社 (2011) です!

トーベ・ヤンソン「たのしいムーミン一家」講談社

・あらすじ
長い冬眠から覚めたムーミントロール。真っ先に向かったのは、橋の手すりに座っているスナフキンのもと。

今年もムーミン谷に春がやってきました。ムーミンパパやムーミンママもいつも通り生活し、森の小さな生き物たちも、春の大掃除を始めました。

ムーミントロールとスナフキン、それからスニフは山の頂上で黒い帽子を見つけました。

なんとその帽子は、入れたものの形を変えてしまう、魔法の帽子だったのです。

それに気づかず、ムーミントロールはかくれんぼで使ってしまい……。

トーベ・ヤンソンが描く、白夜のムーミン谷のユーモアとファンタジーな物語。

去年の年末に「ムーミン谷の冬」を読み、「ムーミンパパ 海へいく」「ムーミン谷の夏まつり」を経て、ようやくムーミンシリーズの初期の作品を紐解いた次第。

これまでムーミンシリーズを読むときは、「季節感のある作品」で紐解いていた。

「ムーミン谷の冬」では主要メンバーがほとんど冬眠しているし、「ムーミンパパ 海へ行く」ではスナフキンがほぼ出てこない。

4冊目で、ムーミントロールとスナフキンが身を寄せ合って座っているシーンが見れた。

この作品を読んで、どれだけムーミントロールがスナフキンに憧れを抱き、そして大好きであるかが、ようやく分かった。

シリーズの順番通りに読まなくても話はわかるけれども、本著を読んでからだと、よりムーミントロールとスナフキンの関係性がわかりますね。

ときに、解説で語っていることであるが、トーベ・ヤンソンの作品は、人間の姿をリアリスティックに描いているのだという。

ヤンソン童謡の特色は、みんな架空の動物を主人公にして、いかにもむじゃきに、楽しく、彼らの生活をえがきだしながら、それがそのまま人間の姿を、うつしだしていることでしょう。

同著 解説(山室静) 281頁より抜粋

個性豊かなな仲間たちであっても、ときには無邪気さを超えた、ある種の恐ろしさも兼ね備えている。

例えば、ムーミントロールが「魔法の帽子」に入ってしまい、姿形が見るからに変わってしまいました。

その姿には、スニフもスノークのおじょうさんも、「ムーミントロールではない」と言い切りました。

最初は半信半疑だったスナフキンでさえも、「ムーミントロールはもっと優しい目をしている」と、気づきませんでした。

だけど、ムーミンママだけは、どれだけ姿形が変わっても、ムーミントロールのことを見分けられました。

「ね、なにがおこったって、わたしにはおまえが見わけられたでしょ」

同著 54頁より抜粋

そんなふうに、ムーミンシリーズには、ときに大人でもハッとさせられる言葉が散りばめられているのです。

それにしても、ムーミンママはいつも良いことを言うものですね。それではまた次回!

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川口 竜也 / 川口市出身の自称読書家
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