
キラキラしたジュエリーに癒されるはずが、ちょっと胸焼け(良い意味で) 上野のカルティエ展
たまにはキラキラしたものを見て癒されたい…そんな気持ちに駆られ、上野の東京国立博物館で開かれている「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」に行ってきました。
カルティエのジュエリー、しかも一生触れないような逸品を理屈抜きで楽しもうという気持ちで行ったのですが、よい意味で裏切られました。ジュエリーだけではなく、現代アートもしっかり楽しめる展覧会。思わず展示を2周しましたよ。たっぷり時間を取って、胸焼けするぐらいじっくり見ることをおすすめします。
会場は国立博物館の敷地にある表慶館という趣のある建物です。
入場するとエントランスの吹き抜けのホールにきれいなパネルが並んでいます。

なんとこれ新聞紙です。ジュエリー見にきたのに新聞紙! 日本各地の地方新聞にその土地の空を描いたというシリーズです。澁谷翔という作家が「東海道五十三次」にならい、約1カ月かけて全国を巡って描いたそうです。


首都圏や大阪以外の地方では、地元の新聞を購読する人が圧倒的に多いですよね。朝日や読売といった全国紙ってあまり見かけません。私もあちこち転居しましたが、購読するのはいつも地元紙でした。100年以上の歴史がある新聞も多く、日々のいろんな出来事が染み付いています。その新聞に何かを描くというのは、その土地の地層みたいなものを踏まえて表現するということかもしれません。
キラキラを見に来たのに、いきなり新聞紙という地味な素材に思いをいたすことになりました。それもまたよし。
順路に従って進むと前半はお待ちかねのジュエリーがメインの展示です。100年ぐらい前のものから最近のものまで、圧倒的なきらめきですよ。



一連の展示は、日本や中国の様々な意匠や自然の造形がカルティエのデザインに大きな影響を与えたことが分かるようになっています。







ドドーンと藤棚の屏風もありました。写真家・杉本博司が奈良の春日大社で撮ったものです。

展示の後半部分は、カルティエ財団と関連のあるアーティストの作品になります。これがまた見応えがあった。






後半の展示は胸焼けするぐらいのアクの強さがあります。良い意味で。
ビートたけしの絵なんて「ウンコ」って書いてあるし。
キラキラだけではない、いろんなアートを楽しめる展覧会でした。
時間があればもう1回行きたい。2024年7月28日(日)まで。