自己肯定感を高める
自己肯定感を高めるには、自己否定や自責の念を克服することが大事だと思います。自責の念って、失敗や反省の原因を自分に求めることで美談や美徳として語られることも少なくないように思いますが、いつでも原因を自分に求めて自分を責めるクセがついていると、人を責める傾向の強い人と一緒にいると、いつもその人が悪いということで、なんでもかんでもその人のせいにされます。
それで自己犠牲の心が強かったりすると、ちょうど新入社員がいじわるな先輩上司から仕事を押しつけられるように、なんでもかんでも悪いことはすべてその人のせいにしておけばいい・・・。そういう雰囲気が醸成されていきます。
仏教では、ある結果は、直接原因と縁(間接原因)がそろったときにはじめておこるとされます。だからその人だけが悪いわけではなく、その結果が引き起こったのは、その環境にも原因があるのです。それを自責の念が強い人は、何でもかんでも自分のせいにしてしまう。それでは最近大事にされている「自己肯定感」は一向に育っていきません。果ては周囲には、いつも八つ当たりをする、原因をその人に押しつける人ばかりが揃っていく、引き寄せられていくことになります。
自分は大学で臨床心理学を専攻し、自尊心(self-esteem)をテーマとして卒論を書きました。理想の高い人も自分のことを責める傾向にあり、自尊心=自己肯定感が育ちにくい傾向にあります。そういう場合でも、自己否定や自己犠牲に陥り、周囲にいじめっ子や八つ当たりばかりする人を置かないようにするためには、原因を外に求める、周囲のせいや環境のせいにすることも大事だと思います。もちろんすべてのことにおいて責任感を持って、自己に原因を求めていくようにすることは大事ですが、それで自分の自信がボロボロになっていては元も子もないのです。
自信がない、自己肯定感が低いという方は、とりあえず、まずは自分をこれ以上責めないためにも、時には環境のせい・人のせいにしてもいいのではないでしょうか。だって、自分以外のところにあきらかに原因があることも、人生には多いですよ。それをなんでもかんでも自己犠牲、自分に原因を求めてばかりいると、繰り返しますが、周囲には人が困っているのを楽しむ、悪魔みたいないじめっ子や、自分が悪いのに周囲に当たり散らす、八つ当たりの人ばかりがはびこっていくことになります。それはそもそもどこに原因があるのかといえば、いつも自信がなくて自分のことばかり責めている、その当人に原因があるのです。
また理想が高すぎても、自分で自分を責めたりしますね。自己肯定感を痩せ衰えさせる“理想”なんて、持つ必要ないと思います。それよりは自分の足下をしっかり見て、脚下照顧して、地に足のついた行動をとっていった方がいいです。
自責の念の強い人こそ、ときには人のせいにしてみてください。これは権力を片手にひとをいたぶることを趣味しているような、いじめっ子のせいだ。むしゃくしゃしている原因を自信のない人のせいにばかりしている、八つ当たりが得意なだけの、他責思考の強い人のせい。自分は悪くない。そう思うことで、自分を守り、自我を守り、自分の自己肯定感を守ること・育むことができます。それができるなら、時にはそういう思考方法をとってもいいのいいのです。
世の中、善人ばかりではありません。自因自果で、自己に原因を求めていく尊い人ばかりならいいですが、人生、そんなものではありません。人の弱みにつけ込んで、ひたすらそこを責めてくるいじめっ子もいます。それを苦にして子どもが自殺していく。新聞やニュースで報道されているとおりです。またむしゃくしゃしている思いを、人に当たることで晴らそうとする・・・。八つ当たり、他責思考の強い人もいます。そういう人から身を守るためにも、自分自身を否定したり、責めることはもうやめましょう。そして正しい方向、自分の自尊心(self-esteem),自己肯定感は自分で守る。そういう方向に踏み出せば、よい結果になることが多いです。
もうあなたは自分を責めて責めて責めすぎてきた。もうこれ以上、自分のことをないがしろにするのはやめてくれ。自己を守り、自分を救済するものこそ、自己を救うことができるです。
『自分自身の救済者は自分自身である。
他の誰が救ってくれようか。
自分を正しく制御してはじめて、
人は得難い救済者を手に入れるのだ。』
(ブッダー真理の言葉『ダンマパダ160』)