「ある人々への優遇措置をどう見るか!?」新科目公共から学ぶ探究のトビラ(18)
人間社会では,必ず意見や考え方が対立します。解のない問題や課題が現代社会では増え続け,これからはコミュニケーションを通じた共に納得できる解を見いだす姿勢や態度がますます求められます。中高社会科教員経験のある大学教員です。生徒や学生たちとの授業実践,互いの根拠や意味を問い合う対話による探究活動を紹介します。諸学校での授業活用はもちろん,理解しやすい身近な題材にしていますから,友人同士や家族団らんで語り合ってみてはいかがでしょうか。
ある人々への優遇措置とは⁉~アファーマティブ・アクション~
アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)とは,社会的に差別を受けている人々を優遇する措置のことです。これまでにあった差別を積極的に是正しようとするもので,人種であれば黒人など,性別であれば女性の社会的地位が向上するような取り組みを進めています。
どんな取り組みがあるの?
アメリカの人種優遇措置では,大学が黒人へ優先入学枠を設定していることがあります。日本でも増えつつあるのが,企業における女性の管理職優先登用です。内閣府男女共同参画局では,男女共同参画社会を実現するとしています。
白人への逆差別⁉
アメリカにおける黒人へ大学優先入学措置は,白人への逆差別になるとの意見があります。また,措置の対象とならないアジア系人種への差別にもなるとの指摘もあります。優遇の対象にならない人々への逆差別という問題もはらんでいるという見方もできます。
分断か?共生か?
現在の国際社会では,分断が進行しているとも言われます。自らと異なる立場を“敵”とみなしてしまえば,分断が深化していくかもしれません。これまで差別する側と差別される側に溝がありましたが,それらを乗り越えるためのアファーマティブ・アクションになると良いと感じています。
探究とは…
①自分で課題を見いだす
②解のない問いと向き合う
③人としての在り方生き方を追究する
④他者と共に望ましい社会形成に参画する