4分33秒
変わってるもの、変わってる曲、変わってる人。
小さな頃から今もなお、少し変わってる存在に、なぜか惹かれます。
自分は、普通の人だと思って生きてきた45年。
どうやら自分は「変わってる人」、つまり変わり者であるということがわかってきました。
この変わり者であることが原因で、考え方やふるまいについて小さい頃から人とのズレがあり、生きづらさを感じることもありました。しかし、社会人になってから、ありがたいことに、変わり者の私でもそれなりに居場所を見つけ、生きていけることがわかりました。
若い頃のカツオ君よ、小中高と「変わってる人」扱いが続いて人間関係が辛いと思うけど、その後、歳を重ねて学びを重ねたら、良くなるよ。だから安心して、吹きすさぶ嵐のときには身を潜めて、晴れの日を待っていいよ。そう言ってあげたいと思います。
さて、「類は友を呼ぶ」と言います。
例に漏れず、変わっている私は変わったものを引き寄せます。
私の変わり者ぶりをご紹介するのは枚挙に暇がありませんので、これまでのnoteをお読みいただくか、これからのnoteに託すとしまして、今日は異彩を放つ「変わってる音楽」をご紹介したいと思います。
世にも不思議な楽曲「4分33秒」
まず、YouTubeに掲載されている「4分33秒」の実際の演奏動画をご覧ください。
オーケストラが音出しをして、楽器のチューニングをします。しかし、この曲は始まっても一切音が奏でられることはありません。
4分33秒後、曲は終了します。
この「4分33秒」という曲は、作曲家の薮田翔一さんの解説(下記リンク)によると、アメリカの作曲家であるジョン・ケージが作曲し、1952年に初演された3つの楽章から成る楽曲です。
楽曲とは言え、第一楽章から第三楽章まで全て(休み)となっているそうです。
ピアノソロの楽譜も出版されています。
想像してみてください。
全部「休み」と書かれていることを知りながら購入する楽譜ほど、不思議な買い物はないと思います。
訳の分からない曲のもつ強烈な魅力
この曲を私が知ったのは、小学生の頃。
テレビのクイズ番組で、演奏が一切無い曲のタイトルを問う問題があり、衝撃を受けました。4分33秒という曲名は私の記憶に刻まれました。
残念ながら私は上記の楽譜を持っていないのですが、この曲の存在に強烈な魅力を感じます。
前出の薮田さんの解説には、ジョン・ケージの言葉が紹介されています。
ジョン・ケージは、「無音(音の無い世界)」の音を聴くためにハーバード大学の無響室に入り、その中で、「“自分の神経系が働いている音”と“自分の血液が流れている音”を聴いた」と記しています。
マインドフルネスを1952年に実践しているジョン・ケージ、めちゃくちゃ先進的です。
前にも後にも、この曲にしか無い概念を生み出したジョン・ケージの描くスケールの大きさに、「ゼロベースで考える」ことの真骨頂を見る思いです。
「4分33秒」は、常識的な感覚では明らかに変であり、訳の分からない曲ですが、心を鎮めて無音状態の中に、自分の中の生命の音に耳を澄ませるのは、なんと贅沢な4分33秒なのだろう、と思います。
効率を求め、正義を信じて生きる、エビデンスを求められる理屈だらけの毎日の中に、理屈なき4分33秒を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
…ということを言うから「カツオさん、変わってますね」と言われるんです。はい。変わってます。
変わり者であることは、唯一無二の個性。
私はポジティブに捉えています。
「世の中を変えるのは、若者、よそ者、馬鹿者」と言われます。私は、現状を改善するための新しい視点を持ち込める可能性を信じ、喜んで「変わり者」の一面を大切にしていきたいと考えています。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。