脱力のススメ
ピアノを習う場面で、よく出てくる教えの1つが、
脱力 = 力を抜いて弾くこと
理由は、「脱力」することで、高いパフォーマンスを発揮できるからです。脱力の大切さは、ピアノなど音楽演奏だけでなく、スポーツ分野でも提唱されています。
ピアノを弾く時に、実際に力を抜こうとするのですが、
全くできません!(残念)
ピアノを弾く以上に、力を抜くことがむちゃくちゃ難しいのです。どれくらい難しいかというと、
例えば、歯科医院の診察台に仰向けになった状態で、いざ治療がはじまるとなった時に、先生が緊張をほぐそうと言葉を掛けてくれますよね。
「力抜いてくださいね」
「リラックスしてくださいね」
普通に考えて、できる方いるのでしょうか?(笑)
頑張っても全身に力が入ってしまって、必死に怖さに耐えているんですよね。恐怖心を持ちながら力を抜くのは、「恐れ」と「リラックス」の感情が同時に起きるくらい、ありえないことです。
「力を抜く」行為は、頭で理解してすぐできるとは限りません。力が抜ける感覚が自力ではなく、自然と起きてくることなんですよね。だから自分の意志だけではどうにもできない。
※ ※ ※
ピアノの話に戻りますが、
それくらい「力を抜く」ことは難易度が高いと感じているのですが、
そもそも「力が抜けた感覚」を普段あまり意識できていないので、その感覚がわからない。いきない「力抜いてね!」と言われても、その通りにできませんでした。
「力が抜けた感覚」を知るには、
力が入っている感覚をちゃんと感じる
必要があると思いました。
そして私は、ピアノを弾く時は、自分の指、腕、肘、肩、全身の感覚に注意しながら弾くようにしてみました。すると確かに、余計な力が入っているのがわかります。
その証拠に、3つのことに改めて気づきました。
① 途中ですぐ腕に疲労感がでる
② 音が硬くメロディーが美しくない
③ 集中力と体力がもたない
そして、力を抜く大切さはピアノだけでなく、
仕事や人生にも脱力は必要だ!
と気づくのです。
※ ※ ※
特に仕事をしている時など、
時間に追われて、忙しく過ごしていると次第に呼吸が浅くなり、無意識に体に力が入っていきます。それが長時間続くと、心身の疲労感が増し、仕事のパフォーマンスが落ちます。
この時も、力を抜くことを意識したいものですが、今自分が力が入っているという認識すらないので、気づくのは難しい。だから、集中力が続かない、仕事の効率が落ちたなと思ったら、「余計な力が入っている状態」かもしれません。
その時は、一旦深呼吸して、首のストレッチをして、ちょっと休憩する。力が入っていたことを認識できれば、「力を抜く」を意識することができます。そして、また仕事に戻る。
これを繰り返していけば、だんだん「力が抜けた感覚」を少しずつ掴めてくると思います。
そして、
力が抜けた状態だと、力が入りやすくなります。
そして集中力が高まり、すぐには疲れない。
結果、パフォーマンスが上がる。
これは、ピアノを弾くことで実感しました。まだ力が入っている状態の方が圧倒的に多いですが、力が抜けた瞬間がわかるようになりました。
その時は、指や腕がラクでムリがなく、鍵盤の上を手が滑らかに移動でき、メロディーも自然です。
脱力は、フロー状態とも似ているかもしれません。
これが、人生にも応用ができたらいいなと思います。必要以上に力を入れなくても(必死に頑張らなくても)、力を抜いて(リラックスして)、波に乗ってラクにムリなく、自然に溶け込むように生きていく。
結果、人生がスムーズに流れはじめる。
脱力にはそんなパワーが秘められていると思うのです。
でも、相変わらず歯科医院での脱力はムリそうですが(笑)。