〔詩〕 人生は実験室。
子どもは、
実験室の中を生きている
万が一、実験中に
大きな爆発が起きないよう
大人が見守る中で
子どもは
好奇心のままのびのびと
トライアンドエラー
を繰り返す
失敗しても
成功しても
結果なんて見向きもせず
次、次、次と
ただ進むだけ
実験をやめるときは
飽きたか、眠いか、お腹が空いたか
のどれかで
いたって気分次第だ
勝敗
優劣
善悪
正誤
時代や人が作った固定概念から
自由に生きる人生だ
*
対して、大人の私は
ゲームの中を生きている
ゲームの世界は厳しい
勝ち負けの世界だ
負けると一巻の終わりだ
不安と焦りの中を彷徨い
いつも怯えている
世界が敵に見える
弱みや隙を見せないように
重い鎧が脱げないでいる
安住の地を
追い求め続ける人生だ
*
人生の定義を
書き換えてみよう
『人生は実験室』だ
失敗も成功も
ただの化学反応の現れだ
失敗データを
積み重ねることが
価値になる
だから私は
この壮大な実験室の中で
失敗しながら
でも大爆発だけには用心して
幸せの化学反応を
実験するまでだ
ゲームではないから
敗者はいない世界
だから
安心して失敗できる
もう、鎧なんて要らない
実験の邪魔になる
今日も
試験管を振りながら
新しい発見をするんだ