『もののけ姫』は「の」が二つもついていて、こんなにめでたいことはない。
無印良品の本屋にて本を手に取り、タイトルに書いた宮崎駿監督の言葉が目に入り、そのままレジに向かった。この本はじっくり味わう価値ありそうだ、という直感が働いた。
来週からの金曜ロードショーは「3週連続#夏はジブリ!」
だそうで(Twitterの宣伝)、テレビない民としては年に数回訪れる、テレビ欲しいな…のタイミングだが、それもあってか、10年くらい前に出されたこの本が、無印の本棚に置かれていた。ありがたい。
読書感想文が小学生のころとても嫌で、それは今でも変わっていないから、崇高な読書の感想は書けない。だからこそ、ストレートに。
面白い。(いい本と出会ったときの、まず抱く感想。)
本を読む途中で、スマホに手が伸びることが明らかに少なかった。
(現代人過ぎる例示だが。)
内容は、宮崎駿監督と解剖学者である養老孟司先生の対談なのだが、二人の一つ一つの話、言葉に引き寄せられる。
サムネに書いた「いっそビデオの箱に書きたいですね、『見るのは年に一回にしてください』って(笑)」は、「トトロが大好きな子どもが100回くらい見ている」という親から届いた手紙を見て、宮崎駿監督がつぶやいた言葉。
「トトロの映画を一回見ただけだったら、ドングリでも拾いに行きたくなるけど、ずっと見続けたらドングリ拾いに行かないですよ。」
Youtubeで時間を溶かしてしまう自分にぐっさり刺さる言葉。
ぐうの音も出ない。
ただ、千と千尋の神隠しを数十回は見てる自分としては
「ここで働かせてください!!」という気合だけは持って、就活に臨んでいたので、行動には移せている部分もある(と思っている)。
好きなジブリ作品のいろんな場面の描写やコメント、そこから発散していき、収束しないまま予定の時間を迎える宮崎監督と養老先生の話。
(あとがきには、対談をしてもあまり話が弾みませんと書いてあるから、凡人との感覚の違いを見せつけられる。)
他にも引用したい話はたくさんあるのだが、それを挙げていくと、小学生のころ読書感想文のほとんどが本のあらすじと化した思い出と同じなので、書かない。ジブリが好きなかたは、ぜひぜひどこかの本屋で見つけて、読んでみてほしい。
読書感想文は苦手だが、読書は好き。
いい本に出会うこともあるけど、その良さを人には説明できない。
過去にも、とある本に出会って、感動して、人に伝えたときには、
「なんかこの本を押したら、エネルギーがじゅわーとあふれ出てくる感じ!」という表現で押し切った。
この「虫眼とアニ眼」を読んで、
というか、読書を通じて、特別話が上手くなるわけでもない。
教授との研究相談がサクサク進むわけでもない。いつも通り、「こいつの言っていることはよく分からない」と思われるだけだ。
友達との会話で、話面白いわ~と言われることもないだろう。
でも、この言い回し好きやな、とか、こうやって考えていたのか、という体験が自分の中で蓄積していくのが好きで、それを別に言語化しなくてもいいということも、この本に教えてもらった。
そんなすべてが言語化できるほど、芸術は甘くはない。