『子供の責任感』
漫画家兼ロクデナシのカトーコーキでございます。
今回は、子供の責任感をどう育んでいけば良いのかを考察していきたい。
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では、本編に入りたいと思う。
今回、「子供の責任感」というテーマを選んだ理由に、我が家で起こったある出来事が大きく関係している。
まずは我が家の事を知らない読者様の為に、家族構成を紹介していこう。
・ボク(42歳・半分漫画家・半分ニートのロクデナシ)
・パートナー・ボンさん(45歳・女性・自営業)
・その息子・もっち(不登校の小三男子・算数大好き・PC大好き・ゲーム大好き)
という3人家族(入籍していないステップファミリー)で、現在はボンさんの母が一人で暮らすボンさんの実家に身を寄せており、自分達の家を持つべく、0円古民家を手に入れ、セルフリフォーム中。
子供・もっちが、同じように不登校の友人宅に週2日お世話になっているのだが、そこには二匹の猫がおり、その猫たちとの触れ合いによって、彼が猫好きになり、猫を飼いたいと思い始めた事が、事の発端だ。
ボクは幼い頃から、実家で何頭かの犬を飼ってきた事もあり、完全なる犬派で、家ができた暁には犬を飼いたいと思ってきた。
大型犬を飼いたいという夢もある。
一方のパートナー・ボンさんは、これまで犬も猫もどちらも飼った事がある上、魚やウーパールーパー、げっ歯類の飼育経験もある動物好きで、犬派も猫派もないといった感じであり、現在は、お母さんの飼っているキャバリアとダックスのミックス犬を愛で、息子の為に捕まえたカナヘビ2匹の世話もしている。
祖母の犬と仲良く一緒に暮らしてきた息子・もっちは当然犬派だろうと思っていたボクにとって、彼が猫好きになり、猫を飼いたいと思い始めた事は衝撃的な出来事だった。
しかし、彼の母であるボンさんは、彼の気持ちを尊重したいと、新居が完成した際には猫を飼う!と言い出したのだ。
まずい・・・・・・。
1対2で、劣勢である・・・。
何もどちらかを選ばず、どちらも飼ってしまえばいいではないか、という考えもあるのだが、リフォームに大金を注ぎ込まなければいけないボクらにとって、その選択肢はなかなか選びにくいのだ。
やはり、家が完成した段階ではまず1匹、しばらくして余力が生まれたら2匹目をお迎えするというのが理想的だ。
そうなると、犬か猫かを選択しなければならず、多数決で負けているプラス子供の気持ちを尊重したいボクは、まあ猫でも良かですよ、という気分になってきていた。
30代半ばくらいまで、ほとんど猫と触れ合わずに生きてきたボクだが、それ以降は猫と触れ合う機会にも恵まれた。
よく遊びに行く友人宅で飼われ始めた猫、そして、息子・もっちの友人宅で飼われている猫たち。
それまでは、猫なんかちっとも可愛くねえじゃん、全然懐かねえしと、正直思っていた。
しかし、彼らと接してきた事で、少しは猫の魅力もわかり始めているといった具合だった。
そしてボクは、猫の事を調べ始めた。
やはり犬派であり、猫を飼った事がない為、できるだけ人懐っこい性格の猫がいい。
つまりは、神経質でなく、よく懐き、飼育しやすい猫という事だ。
調べていくと、ラグドールという種類の猫が正にそのような特徴を持っている事がわかった。
毛は長く、顔には品があり、それでいて愛らしい。
YouTubeでラグドールの動画を見まくり、ボクはあっという間にラグドールの虜となっていった。
しかし、その事をパートナー・ボンさんに話すと、猫はお金で買わなくていい。
保護猫でいい。
犬はまあお金出してもいいけど。
という謎の理論をぶつけられ、買うなら自分の金でという結論に達してしまったのだった。
ボクがラグドールを購入できるようになる為には、漫画が爆売れしなければならないのだが、今のところそんな兆しはない・・・(いい漫画だと思うんだけどね)。
ボクの夢は儚く砕け散った・・・・・・、
ように思えたのだが、事態は急展開を迎えた。
知人が、廃業するペットショップからレスキューされた保護猫(マンチカン)を家族に迎え入れたという知らせが入り、連絡してみたところ、他の保護猫の動画を送ってくれたのだ。
4匹の様子がわかる動画みているうちに、ボクの目はある1匹の猫に釘付けになった。
その子はミルクティー色をした、長毛ではないがもこもこの毛並みの猫で、保護している方にお腹を見せ撫で回されて、気持ちよさそうな顔を見せていた。
種類はスコティッシュフォールドというものらしく、調べてみると、この種も穏やかで人懐っこいのが特徴なのだという。
ボクは、何度も何度もその動画を繰り返し見ていた。
もうボクの心は、その猫に恋をしてしまっていた・・・。
しかし、猫を飼うのは新居ができてからと決めていたし、今は居候の身。
勝手に飼う事はできないのだ。
ボクはパートナー・ボンさんと2人になるタイミングを見計らって、こう問いかけた。
「もし、お義母さんがいいって言ってくれたら、この子を家族としてお迎えしませんか?」
と。
すると彼女は、
「もっち(息子)がこの子を飼いたいと言ったら、お母さんに聞いてみる。
もし、そうでもないなら、今じゃないって事だよ。」
と。
もっちもあの猫ちゃんを偉く気に入っている。
絶対大丈夫だと確信し、床に入る前、彼に問いかけてみた。
「ねえ、もっち?
あの子飼いたい?
もし飼いたいなら家族として迎え入れようよ。
でも、飼うならちゃんと責任持ってお世話しなきゃいけないよ?
もっちの猫なんだから。」
「・・・・・・。」(もっち)
「どう?」(カトー)
「うーん・・・、そうでもないかな?」(もっち)
するとボンさんがすかさず、
「もっちにその気がないなら、この話はもうおしまい。」
と、話を終わらせ、寝てしまった・・・。
ボクは、布団の中で、愕然としていた・・・。
もっちはあの猫を気に入っていたはず・・・。
一人っ子のもっちには兄弟の代わりとなるペットと一緒に成長してほしい・・・。
なのに、どうして・・・?
と。
モヤモヤした気持ちのまま、眠りに入っていったが、午前3時頃に目が覚め、そこから悶々と考え込んでしまった。
これまでボクは、もっちが自分の意思によって飼い始めたカナヘビの世話をあまりしていない事に、不満を覚えていた。
実際世話をしているのはボンさんで、その割合は7.5(ボンさん):2(もっち):0.5(ボク)といった感じであり、本来は飼いたいと言ったもっちがメインとなって世話をするべきなんじゃないのか?と考えていたのだ。
自分がやりたい事、やりたいと言って始めた事に責任を持って欲しかった。
そんな気持ちが強くあった為に、ボクは彼に猫を飼いたいか?を聞いた時、自分が飼いたいのだから責任を持って自分で世話をする事を条件として強く提示してしまったのだ。
これが間違いだった。
というのも子供は、「責任」を果たすという強烈な交換条件を突きつけられた場合、それがどんなにやりたい事だったとしても、萎縮して気持ちを引っ込めてしまう事があるからだ。
この事をボクは自分の経験から知っていた。
ボクの父は本当に厳しい人で、子供が一度言った事を最後までやり切らないと許さなかった。
しかし、この教育の仕方は間違いだったとボクは思うのだ。
本当に自分に合うかどうかは、その物事を初めてみなければわからない。
やって合わないとわかれば、やめるという選択肢を与えなければ、子供は新しい事にチャレンジしてみようとは思えなくなってしまう。
ボクがチャレンジを恐れる事になってしまった一因がここにあるような気がしているのだ。
そこまで気づき、ボクは、
「やっちまった・・・。」
と思った。
そして、翌朝起きた時、彼にこう告げた。
「もっち?
昨日さ、もっちが飼いたいんだから、自分でちゃんと責任を持ってお世話しな。
それができるなら飼おう。
って言ったけど、ごめん、あの言い方は良くなかったと思う。
あの子はボクとボンさんの子供って事にすればいいんじゃないかって思うの。
つまりメインでお世話するのはボクたち。
もっちには下の兄弟ができる事になるから、できる範囲で一緒にお世話してほしいなと。
その上で、あの子を飼いたいと思うか聞かせてほしいんだけど、どう思う?」
すると彼は、恥ずかしそうに、嬉しそうに母の胸に顔を埋めながら、
「飼いたい。」
と答えてくれた。
ボクの見立ては間違っていなかった。
やはり彼は、責任という強いプレッシャーをボクから与えられ、本音を言えなくなってしまっていたのである。
結局この後、ボンさんがお義母さんの許可を得て、我々は約2歳のスコティッシュフォールドのオス猫をもっちの弟ととしてお迎えする事を決めた。(皮膚病が完治していない為、まだウチには来ていない。)
名前は「もね」君である(命名:もっち)。
では、ボクが懸念していた、もっちの責任感をどう育めばいいかという問題に関してだが、ボクはこう考え直した。
自分が言った事だからといって、責任を全うさせようと彼一人にお世話をさせるのではなく、皆で仲良く楽しく「もね」君のお世話をする事によって、自然とお世話をする事を身に付けらればと。
勉強をやらない子供に対して、やれやれ!とどんなに捲し立てても、やらないものだし、それは他の事でも同じだろう。
やれとは言わない方がいい。
やれと言われれば、やりたくない事を無理矢理にやらされていると感じ、それを嫌なものだと認識してしまう。
しかし、皆で楽しくやる事で、お世話は楽しいという感覚が植え付けられ、いずれはお世話をする事が自然な事として身に付いていくとボクは考えているのだ。
実際、カナヘビの餌である蜘蛛を採りに行きなよと言っても、彼の反応はイマイチだが、一緒にカナヘビの餌採りに行こうぜ!と言えば嬉しそうに付いてくる。
最初はこれでいい。
そして、何かお世話をしているところを見たら、「ありがとう。」、「助かったよ。」、「カナヘビも喜んでるね。」などと声をかける。
すると彼の心の中には、人の役に立てた、感謝をされた、気持ちがいいという感覚が芽生え、それを繰り返しやっていくような循環のきっかけが生まれるのだ。
例えば、曜日や時間を決め、交代制でお世話をするのも一つの手だと思う。
その際、もしやっていなくても、親や周りの大人は手を出さずに、自分で動くのを待つのが望ましいが、家のお手伝いなどではなく、ペットのお世話の場合は、命に関わる事なので、自ら動くよう誘導する必要があるかもしれない。
まあ何にせよ、大人のペースで子供を動かすのをやめ、じっくりと待つ事だ。
そして、責任などの重い言葉でプレッシャーを与えるのではなく、楽しい気持ち、嬉しい気持ちを持たせながら、自然に責任感を身につけていくのをサポートしていく事が必要なのだと思う。
焦ってはいけない。
急かしてはいけない。
子供は喜びの中で、一つずつ着実に学んでいくものなのだから。
おしまい
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