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最も緊張する授業「家族関係の変化」

 家族について学ぶことは、周りの”家族”と自分の”家族”の違いを認識することになります。だから、この授業はどの学年のどの授業のよりも緊張して臨みます。

 自分にとっての「普通」が必ずしも周りのみんなの「普通」ではない。それで大丈夫。むしろ、「普通」って何だろう。誰もが自分を「普通」だと思っているのだろうか。「普通」っていう言葉は実は怖い。こんな導入から始まった年もありました。

 家族の関係は常に変化し続けます。20年後に同じ家族関係のまま、同じ屋根の下に暮らしているのだろうか。そう問いかけたとき、生徒はハッと気がつきます。

 教科書には弟や妹の誕生、親戚の同居、親の再婚や養子縁組、里親委託、両親の離婚、家族の死、児童養護施設で生活をすること、親と離れて暮らすこと、夫婦と未婚の子のみの世帯、三世代世帯、単独世帯、夫婦のみの世帯、ひとり親と子どものみの世帯・・・ありとあらゆる家族関係の変化や、家族のあり方が載っています。

 「自分は恵まれていない家庭環境にある」と考えていると考えている生徒にたくさん会ってきました。自分から話す生徒もいました。だからこそ、この授業では、導入でしっかりと語っておく必要があるのです。

 「世の中にはいろいろな家族の形がある。自分が辛い現実にいると感じている人もいるだろう。だから、この授業では、『知識』としていろいろな家族像を学んでほしい。」

 「そして。将来の家族の形を決めるのは自分なんだ」と。

 この授業の振り返りは、毎年熱の込もった振り返りばかりが集まります。「自分はこんな家庭にしたい」「今はまだわからないけど、結婚したら絶対に家族を幸せにします!」

 どんな生徒も、自分自身の家庭生活を作っている途中なのです。それぞれの未来に希望をもてる授業にしたい。そう願っています。

 家庭科のほそ道。今日はこの辺りで失礼します。

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