医師のお財布事情を、ぶっちゃけるよ【tea break】
① お財布事情
「いくら稼いでるのー?」。
合コンやら飲み会やらで、死ぬほど聞かれまくった質問です。聞き飽きるくらい質問されましたね。もう勘弁してほしいです。若いお姉さんにも聞かれますし、怪しいオジサンにも聞かれたことがあります。こちらが若手の医師だと分かった途端に聞いてきます。年齢や男女を問わずに聞かれるあたり、やっぱり「医者の財布事情」って話のネタになるんでしょうね。
みんな、お金の話題って大好きなんですよ。
以前にnoteで無給医のことと医師バイトのことは書きました。ここでは医師の財布事情を全般的にまとめます。
② 平均:1200万~1500万
厚生労働省が、きちんとデータを出しています。医療経済実態調査で医療機関の儲け具合が分かりますし、賃金構造基本統計調査では平均年収も明かされています。もちろんデータを取る年度によっても変わるワケですが。
それらによりますと、医師の平均年収は1200万〜1500万の間に収まっていることが多いです。当然ながら調査年度によって数値のばらつきがあります。おまけに平均値ですし、実態とズレている可能性もある。
ただ、まあ、僕の肌感覚としては「平均としてみれば、そんなモノかなぁ」なんて思ったり。勤め人としては決して悪くないけど、飛び抜けて良くもない。月収でいうと100万円くらいかな。
そんなところでしょうか?
③ 医師と言っても様々
・年収300万円の無給医のお兄さん
・年収1200万円の勤務医の人
・年収5000万円の美容外科のオジサン
彼らがミックスに統計されれば、どうなるのか。つまり、そういうことです。まとめて解析しようにも、幅があり過ぎるんです。
a どこ(医療機関の区分)に勤めているのか?
b 診療科目は何科なのか?
c 医師としての経験年齢は?
d どこ(立地としての意味)で働いているのか?
たとえば上に挙げたような単純なことで、得られる報酬は簡単に上下してしまいます。単純なようですが、軸になる部分です。もちろん上に挙げた項目以外にも、給料を変えうる要素は多々あるでしょうけれど。挙げりゃキリがありません。
④ a軸 医療機関の区分
大学病院勤務なのか、地域の民間病院勤務なのか、はたまたクリニックなど入院施設の無い診療所なのか。勤務する事業体の区分、と言い換えられるでしょう。
最近では色々な施設で横断的に働くフリーランスの医師が居たり。「医師のバイトをかけ持ちして生計を立てる」スタイルってことね。新型コロナ流行で阿鼻叫喚のようですが、コスパが素晴らしい生活スタイルだったのです。
フリーランスを除くと、基本給が良いのは「クリニックなどの診療所 > 民間病院 > 大学病院 」の順です。
ビルのテナントでやっているような診療所は、病院ほど施設維持コストがかかりません。それに対して病床があると、それだけで設備費がかさみますものね。大学だと研究施設の維持費もあるだろうし。小さくはじめて小さく回る事業のほうが有利、ってところでしょうかね。
⑤ b軸 診療科目の区分
診療科目も沢山あるわけです。内科、外科、耳鼻科、皮膚科・・・・。でも、もっと大きく捉えて、保険診療科目と自費診療科目という分類の仕方が重要です。保険診療は、国が規定の診療報酬を出す枠組みのなかでの医療。体調を崩して病院にかかる場合などをイメージすれば、たいていが保険診療の枠で動いています。自費診療は文字通り、国の診療報酬制度に乗っからないスタイルです。美容関係とかが自費診療の代表例。
給料に関していえば、一般的には「自費診療 > 保険診療」というのが相場です。
自費診療科は値段を自分らで決定できるので、ビジネス的に有利ではあります。美容皮膚にしろ美容外科にしろ、あるいはレーシックにしろ、基本的には儲かる。
じゃあ保険診療科の科目別に給料格差があるのか、っていう命題ですが。ぶっちゃけ、差がないんですよね。っていうのも、保険科目の点数を決める際に「異様に皮膚科の保険点数が有利だよね・・・」とか仮にあったりすると、不平等なもんですから、基本的には均質化しようとします。診療報酬を決める中央部会があって、そこで議論されて決定されるので(まあ、実際にはオトナのパワーバランスがあったりするようですが)。となると、やっぱり「楽な科」が給料的には有利なんですよね。肉体的に負荷がかかる診療科だとしても、報酬がすごくいいワケでもないし。「楽な科」のほうが、土日の休みも多いので、医師バイトもしやすいんですよね。理不尽。
⑥ c軸 経験年数
経験年数が長くなるほど、やっぱり年功序列的に給料は良くなります。ただし初期研修医から大学院生(いわゆる無給医)にジョブチェンすると、一時的ですが給料は無給に近くなります。
無給医の例は極端で、一般的には年齢とともに給料は良くなるものです。
⑦ d軸 勤務地
給料については「田舎 > 都会」というのが不思議なところ。保険診療の医療機関では、田舎で診察しようが都会で診察しようが、報酬は一律に同じです。そのため土地代が安い田舎のほうが経費が浮くため、黒字経営しやすいものです。それにつれて、一般的には僻地では高額報酬が期待されます。まあ単純に人手が集まらないという面もあるでしょうけど。
⑧ 「大学病院 × 激務の外科 × 若手無給医 × 都心 」
ざっとしたところをまとめました。肌感覚ではありますが、おおむね事実に近いと思われます。これほど単純化した要素で全てを語るのは不可能なので、ご容赦ください。周りの友人を見渡しても、おおむねこんな感じだと思います。
「大学病院 × 激務の外科 × 若手無給医 × 都心 」というプロフィールって、お給料的には結構微妙なんですよね。実態を知らないと、超絶エリートコースっぽいですが・・・。
大学病院は母体として経営が悪いので、給料も悪くなりがち。激務の外科だと疲労度が高まりますし、土日も空かないほどの激務だと医師バイトが出来ません。そこにきて若手の無給医だと最悪で。くわえて都心にあったりすると、それだけ生活費(家賃とかね)が田舎より高いので、不利です。
⑨ まとめ
医師のお財布事情。けっこう幅がある。ふつうに過ごしていれば1000万円は超える(ことが多い)。