マガジンのカバー画像

スタッフコラム

12
カタリバは首都圏だけでなく、岩手県や島根県にも拠点を構え、そしてオンラインという形でも多くのスタッフが子ども支援に携わっています。最前線で子どもたちと接しているスタッフは、日々何…
運営しているクリエイター

記事一覧

「友だちグループと好きなものが違う」高3女子が悩みを打ち明けてくれたときの話

私が所属するb-lab(ビーラボ)は、東京・文京区にあるユースセンター(中高生のための施設)です。少し前、私は高校3年生の女の子からある悩みを相談されました。それは私自身も高校時代に抱えていた葛藤であり、「自分がb-labに来た意味」と感じていることでもありました。その出来事についてお話しします。 ―――――――――――――――― ワカナさん(仮名)はb-lab常連の高校3年生。私とは好きなお笑いが同じで、顔を合わせるとお笑いの話でよく盛り上がっていました。 そのワカナさ

マルシェへ出店で劇的ビフォーアフター!? 変化を遂げた5人の高校生たちの話

私は現在、大学に通うかたわら、「子どもの居場所」のスタッフとしてさまざまな事情を抱える子どもたちのサポートをしています。 今回は、地域のマルシェに出店した高校生5人の変化・成長と、それを通して確信した「地域」と関わることの素晴らしさについてお話ししたいと思います。 ―――――――――――――――― きっかけは、私たちスタッフが高校生のグループ5人に「広場で開催されるマルシェに皆で参加してみない?」と声をかけたことでした。 高校生の1人はすぐに「やりたい!」と手を挙げてくれ

外国ルーツの高校生との出会いがもたらした、私の変化

カタリバのRootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援)に所属する私は、外国ルーツの高校生が日本の企業でインターンシップを行う「Rootsインターン」を担当しています。そんな私にとって印象的だった生徒のエピソードや、自分自身に生まれた変化についてお話できればと思います。 ―――――――――――――――― 今は外国ルーツの高校生支援に関わる私ですが、カタリバに入るまで日本で外国ルーツの子どもの人数が増えていることや、彼らを取り巻く課題を知りませんでした。カタリバへの転職を

いろんな形の “はたらく” が当たり前になるように。採用人事の私にできること

私は現在カタリバの人材戦略チームに所属し、採用人事として日々応募者の方々とコミュニケーションを取っています。そんな私が「はたらき方」に対して抱いている想いについて綴ります。 ―――――――――――――――― そもそも私はなぜカタリバへ入職することになったのか。そのきっかけは、学生時代まで遡ります。 中高時代は一貫校に通っていて、卒業後は大学進学以外の選択がないと感じていました。でも、高校3年の時、大学受験のために近くのコミュニティセンターで勉強するようになって、その思い

「困難を抱える子どもの“背中を押す存在”でありたい」学生スタッフの私が出会った、ある女子生徒

私が学生スタッフとして活動する「子どもの居場所」では、自分自身ではどうすることもできない、家庭環境などの課題を抱える子どもたちが安心して過ごし、一人ひとりが自己実現への一歩を踏み出せるよう、“きっかけづくり”や“対話をベースにした生徒への伴走”を行っています。 ここでは、「子どもの居場所」で出会ったある女子生徒とのエピソードと、居場所の存在意義について私が感じたことをお話できればと思います。 ―――――――――――――― かえでさん(仮名)と最初に出会ったのは、彼女が中

卒業証書をもらって誰よりも嬉しそうな子どもたち。その姿から私が得た気づきとは

何らかの家庭の事情で居場所を求める子どもたちが、安心して過ごせるようにカタリバが開設した「子どもの居場所」。そこで私は不登校児童・生徒に対する支援を行っています。 先日、「子どもの居場所」に通っていた不登校生徒たちの卒業式を挙行したときに、私の心が動いた出来事があったのでお話します。 ―――――――――――――― 3月22日(金)の朝11時。続々と生徒たちが集まってきました。卒業式が始まるまで椅子に座っている生徒たちの表情はどことなく明るく、生き生きしている様子。 そ

中高生が“自分らしくいられる”居場所。そこに込める想いとは

東京都文京区にある、中高生の秘密基地「b-lab」。私は現在大学4年生で、学生スタッフとして運営に携わっています。b-labでは中高生が日々ゲームやおしゃべりをしたり、ダンスやバンドの練習をしたり、勉強をしたり......自分らしい過ごし方をする光景が広がっています。 そんな自分らしさを表現できるb-labで立ち上げられている、b-labサークル(以下:サークル)。サークルは中高生同士が「好き」でつながる居場所であり、自分の「やってみたい」を表現できる機会でもあるコミュニテ

全国の仲間とつくる “高校生の探究的な学び” のムーブメント

高校生が身の回りの興味関心をテーマにプロジェクトを立ち上げて学ぶ「マイプロジェクト(以下、マイプロ)」。私はそのプロジェクトの事務局担当として、カタリバで働いています。 カタリバのミッションは、各地域でマイプロを軸にして主体的に学ぶ高校生を増やすとともに、高校生たちを支える人を増やすことで、各地で学び合えるコミュニティを広げていくこと。地域で高校生のマイプロを支える大人たちを「地域パートナー」と呼んでおり、私は地域パートナーと一緒に各地域でマイプロのムーブメントを作ることを

子どもだけでなく支援者にも‟聞いてもらえる”居場所は必要

経済的に困難を抱える家庭へオンラインによる伴走と学びのプログラムを提供している「キッカケプログラム」。私はそこで主に、子どもたちの支援者であるメンターのマネジメントを担当しています。 そんな私に、「子どもだけでなく “大人” にも居場所は必要」と思わせてくれたメンター・アキホさん(仮名)との出会いを今日はご紹介します。 ――――――――――― アキホさんと初めて会ったときの印象は、落ち着いていて思考力が高い子。とにかく真面目で、子どもたちへの対応が思うようにいかなかった

家族の元気は、子どもの元気につながっている。

私は、島根県雲南市にある「おんせんキャンパス」で働いています。地域の教育支援センターであるおんせんキャンパスは、さまざまな理由で学校から足が遠のいてしまった子どもたちが通う場所で、私は家族支援と食育プログラムを担当しています。 「子どもたちのための施設で、家族の支援もするの?」と思われる方もいるかもしれません。“家族の元気が、子どもの元気につながる”ことを私が実感したのは、ある家族との出会いがきっかけでした。 ********* さやかさん(仮名)は、中学に入学してすぐ

「自分の言葉に耳を傾けてくれる人がいる」子どもたちにそう思ってもらえるように

2023年9月24日(日)、「ルールメイキング・サミット2023」が終わりました。このイベントでは、校則をはじめとするルールメイキングに取り組む中高生が全国から約100人集まり、自身の活動を共有・振り返ることで学びを得ました。 私はサミットの運営統括として参加。たくさんの方のご協力を得て、無事に今年もサミットが幕を閉じました。 サミットの準備を通じてずっと考えていたことは、「いかにして、サミットが子どもの声を聴ける場であるか」ということでした。 もちろん、校則に対しては

教員だった僕にとっての「ナナメの関係」

僕は今、不登校の子たちをオンラインで支援する仕事をしている。過去、教員として中高一貫校で働いていたときには、教員は “教える立場” 、子どもとはタテの関係を築くもの だと無意識に思っていた。 けれど、カタリバで子どもたちと関わる中で、彼らには「タテ」だけじゃなく、ときに「ヨコ」や「ナナメ」の関係も求められていると思うようになった。(ナナメの関係とは、「タテの関係(親や先生など)」でも「ヨコの関係(同世代の友人)」でもない、それらとは違った角度から本音で対話できる、利害関係の