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【雑記】秋だしダンスの話をしよう

最近めっきり涼しくなりましたね。部屋で飲むコーヒーが美味い季節になるので秋は結構好きです。

秋と言えば、逆噴射小説大賞に今年も出たりしています。

去年と違って800文字の壁はなかなか高く、いつもパソコンの前でウンウンうなりながら書いてます。なので、息詰まったらいつもダンサーのショーケースとかバトル動画を流しているのですがこれがまあスゴイ。優れたダンサーの魅せるムーブは、私たちがどこにいても一瞬でその場を熱気ムンムンのフロアに変えてきます。
「イップマン」でドニーさんが魅せる武術の粋に息を呑むように、究極まで詰めた技術には鋭さが宿ります。
ダンスには数多のジャンルがありますが、特に私がよく見るのは高校の時やってたポッピングです。ポッピングは、腕や足の筋肉に一瞬力を入れて筋肉が跳ねるように見える「ヒット」という技術を多用するダンスジャンルです。ダンス経験者の人はこの動作を、「ヒットを打つ」とか「はじく」とか言ったりします。言うより見た方が早いでしょう。

こんな感じで上腕、二の腕、脚、胸で筋肉をはじきます。絵面だけだと「これでダンスが?」「ヘッドスピンは?」と思う方もいるかもしれないですが、これがビートの強い曲に合わせてヒットが決まると滅茶苦茶にカッコよくなるんですよ。

は~カッコイイ。ここまでヒットがくっきり分かるのってすごいんです。しかも、ヒットを音に合わせると簡単に言うけれど、これがそもそも難しい。
ポッピンを始めた時によく言われるのが、「ヒットの早どり」をしないことです。ヒットは耳でビートが聞こえてから打ちます。そのため、曲のビートによく耳を傾けてないと、ビートより早くヒットを打ってしまいます。これを「ヒットの早どり」と言います。上記の動画のように、プロはこのヒットの打ち方がかなりすごく(なぜならプロだから)、体からまじでビートが聞こえるように見えます。なんとなく技術について知っていると、ダンスの見え方が違ってくるんじゃないでしょうか。

このムーブがアツい

ポッピングが基本的にどんなもの分かったはいいけど、何から見れば分からないよ!ということで、ここからは私が「これはやばい......!」となったベストムーブを紹介します。気に入ったダンサーが見つかればぜひダンサーの名前で調べてみるといい。

1.Electric Boogaloo Showcase 2011 Switzerland

古今亭志ん生が落語の神様であるように、ジミ・ヘンドリックスが伝説のギタリストであるように、その界隈で伝説的な存在はいます。Electric Boogaloosは間違いなくポッピング界伝説のダンスクルーです。一人一人が伝説級の存在であり、自伝を全員出せるレベルといって過言ではありません。

個人個人の説明は、上の記事に譲りますが簡単に言えば、一つのダンスジャンルを築き上げた兄と、マイケルジャクソンにパフォーマンスを教えていた弟がいるダンスクルー。冒頭のヒットで踊る例の彼こそ、弟であるPopin'peteです。
動画では、ダンス見習の男が夢でElectric Boogaloosに会うストーリーになっています。自分たちが伝説的な存在だというのを隠さない芸当は彼らにしかできない。どのメンバーも各々のスタイルを確立しており、目が離せません。6:49のソロの最初を飾るショーン・ブーグ(Shown Boogz)のヒットの強さ、動きの制動力はただただ唸るしかありません。普通の人間にあの足さばきは出来ない。音にはめた動きが芸術品です。
8:37のミスターウィグルス(Mr Wiggles)はとにかくタット(手で図形を作る技)がとにかくやばい。10:25からが神がかっており、何が起こってるか分からない。真似しようと一時停止を連打したが、停止する間に3回くらい動いていて諦めた。 
11:10からのシュガポップ(Suga Pop)は、クルーの中でも特に私が大好きなダンサーです。ファンクを体現したような人物であり、ヒットをあまり打たない代わりにロール(関節を回す技)と、独特な手の動きを多用します。初めて見るとポッピングらしく見えないかもしれませんが、この動きがファンク音楽の野性味に不思議とあうんですよね。それにどこで踊っていても、人を食ったような表情で踊っていて、カッコよさに繋がってるんですよね。
13:25のブガルーサム(Boogaloo Sam)こそ生ける伝説。この人がいなければポッピングはなかった。ありがとう、ブガルーサム。まず、赤のズートスーツ姿がカッコイイ。決して派手さがあるわけではないけれど、ヒットの一つ一つに歴史の重さがある。


2.SDK Jedovnice 2010  final poppin battle KITE - NELSON 

とにかく4:22、4:22からがドエライことになっています。それまで互角に思われた空気が一変、一気にKITEの独壇場になります。アドリブから繰り出される奇跡の瞬間。ダンスバトルの妙はここにあります。NELSONもハチャメチャにうまいけれど、あまりにKITEのムーブが刺さり過ぎた......。見てて思わずガッツポーズしちゃいましたから。間違いなく自分も会場の人と同じ表情をしてたと思う。とにかく踊るとき楽しそうなのがまたいいんですよ。心からバトルを楽しんでるからこっちまでニコニコしてしまう。そしてこの足さばき。細かい音取りまで完成されていて、並外れた体幹と運動神経によってKITE独自のスタイルにまで昇華しています。
余談ですが、このKITEさん、きゃりーぱみゅぱみゅのPVにも出演しています。説明せずともどこにいるか分かるくらいにはガチに踊ってる。正体を隠す気が一切ない。


3.BOTY 2005 - HILTI & BOSCH FEAT CO-THKOO (JAPAN) - SHOWCASE SPECIAL 

ロックダンスチーム Hilty & Bosch、ポッピングのダンスチーム Co-thkooのショーケース。異ジャンルを組み合わせたショーケースは数多あります。その中でもこれを越すショーケースはそう多くないでしょう。
1曲目の同じ曲、同じ動きで各ジャンルの味を出してくる演出がにくいです。2曲目の Hilty & Boschの動き見ましたか!?人間あんな高度まで飛べるんですよ。しかも、このスピードの曲でこの振付の精度はかなりやばい。
3曲目の Co-thkooはヒルティとうって変わって重さを感じる振りです。そして、このシンセに合わせたウェーブの通り方!!筋肉制動の熟練度の高さですよ......。
4曲目にダフトパンクの「 Harder, Better, Faster, Stronger」を持ってくる時点で優勝ですよ。観客が沸く術を知っている曲選です。イントロで一列に並んでからの、歌いだしで全員がポッピング、次に全員でロック.......クスコが始めるかと思ったらフェイントで、間からヒルティが......。俺がカッコイイと思った演出をすべてやってやる感が伝わって最高なんですよ。実際カッコイイ。 


4.BATTLE BAD 2013 - 1/4 FINALE POP - HOAN VS SALAH - HKEYFILMS

バトルは技の粋を尽くして競い合うものなんだけれども、時折こうしてダンサーたちのダンスでの会話が起こるものがあります。ハイローの奴らが拳で会話するように、ダンスで戦う者達はダンスで会話するのだ。両者のリスペクトする気持ちが前面に出てるのが最高です。観衆のノリも最高。あんな二人の会話を見たらそりゃあ沸きますよ!

Hoanは韓国のダンサーです。韓国のポッピング界隈は本当にすごい人たちがいっぱいいて、中でも好きなダンサーの一人です。バトルでの音の表現を止まる動作で表現するのが滅茶苦茶にうまく、見てて飽きないんですよね。
KITEとも戦っています。とにかく仲がいい。

バトルにおいて、いかに予想外な動きで曲を表現するかが評価する一つの基軸になっていると思います。フランスのSalahはこの点で最強です。比喩でなく本当に最強なんです。表情、腕、頭、喉、腹、脚、帽子、その場で使えるもの全てで音楽を表現するんですよ。

一秒先が分からないおもちゃ箱みたいなショーケースです。

少しだけ話すつもりが、長々と書き連ねてしまいました。縁遠かったポッピングも、少し知ると面白くないですか。高校以来久しぶりに見始めたので、若手のポッピングの人の動画も見つけたいです......あれ?作業ついでに見始めてたのに本腰いれすぎじゃない?
いいんだよ、好きなんだから。
(おわり)




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