- 運営しているクリエイター
#小説
クレンザー KILL!!KILL!!KILL!!【VS. ブレインジャッカー】
むせかえるような血の匂いで俺は目が覚めた。部屋の中は夜闇で満ちている。それが返って血の匂いを強めていた。
汗の匂いまで混じってきた。俺は頭が痛くなった。最悪なときはどうするか。まずは酒だ。一杯やらないと気がすまなかった。立ち上がり、二、三歩歩いて躓いた。夜に目が慣れてくる。足元に女がうつ伏せで倒れている。ピンクと黒のフリルのブラウス姿で、チョーカーを首に巻いている。背中には楽器ケースを背負って
ヘリオス・ティガ・ドラゴン、社交ダンスに行く
人にそれぞれ氏名があるように、私の名前はヘリオス・ティガ・ドラゴンだった。
母はヘリオス・ティガ・満。父はヘリオス・ティガ・三郎。私は女の子でも独立独歩していけるよう「ドラゴン」と名付けられた。
そんな私は引っ越しの準備のため、荷造りをはじめていた。はじめるまでは、億劫だった気持ちも段ボールに荷物を詰めこむ中で小さくなっていった。
ベランダに西日が差し始めたころ、私の荷造りもいよいよ終わり
渦の果て、墓標は流れつき
夕暮れの影が坂にのびる。背丈ほどのススキが風に揺れる。僕の住む街は少しずつ輪郭を歪めていた。
はじまりは3日前。夕方のニュースで、アナウンサーが明日の天気予報をした後だった。
不思議な事件だった。夜中にサラリーマンが道端に捨てられていたのだという。しかもお腹にナットが沢山入っていたらしい。
事件現場の映像が流れると僕は驚いた。タンポポがまばらに咲いたブロック塀に挟まれた道とススキが伸びる空
リナ──赤い幻視── #パルプアドベントカレンダー2021
二度目に会った彼女はどう見てもサンタだった。
18時に渋谷駅で待ち合わせをしていた。俺はバイトで10分遅れてハチ公前に着いた。
〈すみません、今着きました。どこにいます?〉
マッチングアプリを開いて〈りな〉の名前をタップし、メッセージを送る。
〈緑の電車の近くです! ここらへん!〉
返信とともに、写真が送られてきた。インカメで撮った写真には、木を背景に絵本で見たままの恰幅のよいサンタが