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2024年1月の記事一覧

文化庁による重要文化財の刀の買取値段

文化庁による重要文化財の刀の買取値段

重要文化財や国宝の刀剣の中には個人蔵のものがまだ多くあります。
所有者の方が亡くなり遺族が手放すなど文化庁が買うタイミングは様々かと思いますが、ではいったいいくら位で国が買い取っているのでしょうか?
調べてみました。
今回の調査対象は平成20年度以降に文化庁が買い取ったもののみで、国宝はありませんでしたが、重要文化財が15点、重要美術品1点の買い取り金額が分かりました。
有名所だと博多藤四郎(吉光

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正宗十哲展で見た「島津正宗」の真相

正宗十哲展で見た「島津正宗」の真相

先日ようやく正宗十哲展を見に行く事が出来ましたが、京極正宗や稲葉郷などはじめ、よくもこれだけの名刀を集めたものだと感心しきりの展示会でした。
その中でも個人的に特に大ニュースというか驚いた点で言えば「島津正宗」の新事実でしょうか。

島津正宗の伝来について刀剣ワールドさんのHPから抜粋すると以下の通り。

この島津正宗は継平押形に掲載されたものと同様物が2014年に見つかった事で、京都国立博物館に

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初めて買った茶碗、ついに届く

初めて買った茶碗、ついに届く

先日購入した茶碗が遂に届きました。

開けると布にくるまれた陶器がプチプチにくるまれた状態で入っていました。

作者である隠崎隆一さんの陶歴も入れて下さっていました。
まさか岡山県の指定重要無形文化財保持者の方とは…。
私の場合作者の方の人生や考え方に惚れて買う場合と、物に感動して買う場合の2パターンで物を買っている気がするのですが、今回は後者でした。
故に実は作者さんについて購入前に調べておらず

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【茶碗購入体験記】いざ、茶器の世界へ…

【茶碗購入体験記】いざ、茶器の世界へ…

先日東京国立博物館で「本阿弥光悦の大宇宙」展を見に行った際にぼんやりとしていた自分の中の理想の茶碗像という物が明確になった。
形で言えば乙御前、色は紙屋。

360度全方位から見える展示であれだけ魅了された作は今までなかった。
勿論本物が手に入れば言う事は無いが手に入るわけはない。

そんな感動以降、ネットで本阿弥光悦の乙御前や紙屋を写した作が多数ある事を知った。
しかしどれも色の深みが足りないよ

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横浜支部 刀持ち寄り鑑賞会(2024年1月)

横浜支部 刀持ち寄り鑑賞会(2024年1月)

今日は日刀保横浜支部の会員持ちより刀鑑賞会に参加しました。

今回は現代刀が中心でしたが、中でも靖要作と銘の入った短刀の姿と地鉄が特に美しく個人的にとても心惹かれるものがありました。
e-swordさんのサイトにこの刀匠の方の解説がありましたので引用させて頂きます。

柾がかった潤いのある地鉄に新藤五でもよく見る素剣の彫と裏には護摩箸の彫が施されています。

地鉄の良い作は見ていて清々しい気持ちに

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コレクション情報さんの東京刀剣展示会へ行ってきました

コレクション情報さんの東京刀剣展示会へ行ってきました

昨日はコレクション情報さんの日本刀展示即売会にお邪魔してきました。
コレクション情報さんは岐阜の刀屋さんですが、全国各地で刀の展示即売会を実施しているお店です。
1月には毎年東京でも展示が行われており、私自身も展示会にお邪魔させて頂くのは4年目でしょうか。

店員さんに声を掛ければ誰でも刀を手に取れるので、初心者の方も行きやすい展示かと思います。勿論初めての場合は刀の持ち方なども教えて頂けます。

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三日月宗近の拵を見てちょっとした発見

三日月宗近の拵を見てちょっとした発見

昨日「本阿弥光悦の大宇宙」を見たついでに、東京国立博物館常設展の刀剣コーナーを久々に見てきました。
すると三日月宗近が展示されていたのですが、なんと拵も展示されていました。
私自身初めて見ます。

興奮。

そしてこちらが拵。柄や鐔は消失してしまっているのでしょう。

鞘尻に付く石突金物も消失しています。

石突金物はこんなやつです↓

さて拵をよく見てみます。

鞘部の蒔絵を見るとなんと右から五

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「本阿弥光悦の大宇宙」展を見て

「本阿弥光悦の大宇宙」展を見て

ついに昨日から「本阿弥光悦の大宇宙」展が東京国立博物館にて開催されました。
昨年より楽しみにしていたのでようやく、といった気持ちです。
なぜそこまで楽しみにしていたかと言えば、以前手に入れた「刀掛け」が本阿弥光悦作と伝えられている為です。
果たしてどこまで本当なのか、真実は分からないものの作風の共通点など個人的に見出せればと思い楽しみにしていた次第です。

・本阿弥光悦について本阿弥光悦(1558

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安い刀を買った事で他の刀の良さを再認識

安い刀を買った事で他の刀の良さを再認識

研ぎ減っている、傷が多い、繕われている、偽銘、再刃である…などなど安い刀には安い刀なりの理由があると実感するが、同時に部分的に光る箇所や面白いと感じる部分が存在する。
それが引き金となって「これはこれで良い味があるな」とどこかスッと穏やかな気持ちで見ていられる、そんな気持ちになる事があるとこの刀を買ってから実感する。

そして何より、この刀を見てから手元にある他の刀を見ると他の刀が今まで以上に良く

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歴戦の刀、誰の作か考える

歴戦の刀、誰の作か考える

昨日のブログに引き続き、今回は先日即売会で購入したばかりの以下の無銘刀の時代や刀工などを推測してみます。
安い事もあり鑑定書も当然ないので、あくまで個人的な見解、推測です。
因みに刀屋さんの見解を聞くのを忘れました。
今度お店に行った際にでも聞いてみようと思います。

①姿菖蒲造をしている。
元は薙刀だったのだろうか。この辺りも後程帽子をみて推測してみる。

②茎目釘孔は2つ。一つは達磨形状をして

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即売会で歴戦の刀を買いました

即売会で歴戦の刀を買いました

歴戦の刀、大体残っている古い刀は皆歴戦の刀であるのですが、ここでは研ぎ減って薄くなりつつも何とか現在まで残っている刀、とでも…。

明日1/14まで行われている霜剣堂さんの展示即売会、今回は2回行ってお終いにする予定だったのですが、2回目行った際にふと格安コーナーに展示されていた初任給位の値段の刀になぜか惹きつけられた。
(その時の様子はこちらに記載)

因みにその位の値段の刀は普通欠点と呼ばれる

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綺麗を正とする評価軸では見えてこないであろう対極にある世界

綺麗を正とする評価軸では見えてこないであろう対極にある世界

人が使った物は中古とされ価値が落ちるのが一般的であるが、使い込まれ過ぎるとそれがかえって深い味わいとなる。

使っている机は新しい木で艶々しているが…

以下の使い込まれた板はどこか味わいがある。

同じく鐔にしても、艶やかなものはそれはそれで綺麗ではあるが。

使い込まれるとどこか味わいが増す。

綺麗な状態、完品な状態を「正」とする評価軸では決して見えてこないであろう対極にある世界。
しかし使

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再び霜剣堂さんの新春展示即売会へ

再び霜剣堂さんの新春展示即売会へ

1/5から行われている霜剣堂さんの展示会に再び行ってきました。
展示会は1/14までなので恐らく期間中行けるのははこれが最後です。

前回は茶色の名刀エリアを中心に見て周った為、以下の青や緑のコーナーをじっくり見れていませんでした。
今日はこの辺り、とりわけ求めやすい刀の並んでいる緑や紫のコーナーを見て周る事に。
今日も2振ほど面白い物との出会いが。

1振目は武州下原刀(したはらとう)の康重とい

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刀の加工について善悪の判断が難しい

刀の加工について善悪の判断が難しい

昨日「薫山刀話(著:本間順治)」を読んでいたところ、以下の話を見つけました。
無銘の三郎国宗の作にいたずら心で別の刀の茎を切って額銘を入れた(銘部分だけを別の刀に貼り付けた)という話。

本来額銘は大擦上げすると刀の銘が消えてしまうので銘を残す行為、つまり元々その刀に刻まれていた銘を残す行為であって、別の刀の銘をくっつける行為ではありません。

故に現代行っていた場合は「刀になんてことを!」「文化

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