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刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑
2024年5月28日 23:57
鉄鐔作りで有名な成木一成氏による四分一地の牡丹獅子図の大小鐔。この鐔を手にしたのは2022年の大刀剣市であるが、まさかこのような四分一の成木鐔が存在しているとは思わず、目にした瞬間に衝撃が走ったのは記憶に新しい。成木一成氏の作ではその殆どが鉄鐔である事は図録を見ても分かり非常に珍しい作に思う。他に色金だと真鍮の安親写しなどが存在しているようである。(本鐔については以前こちらのブログで触れた
2024年5月20日 23:05
武州伊藤派の初代は伊藤正長と言われ、一説にその弟と言われる人物が今回取り上げる伊藤正次である。相州小田原伊藤派の祖とも言われ正徳頃(1711年頃)の金工とされる。伊藤家は慶長頃(1596~1615年頃)からの古い金工家の家柄とされ、伝系は正確には判明されていないものの、一説には正阿弥系、埋忠系、長州萩鐔系、相州小田原系と言われている金工らしい。
2024年5月16日 23:22
表に葡萄の葉と蔦、裏に葵の葉と唐草を毛彫で表現し、水滴を表現しているのか金と銀の点象嵌が施された古金工極めの鐔。この鐔の鑑賞記録を残しておく。縦77.6mm×横76.1mm×耳厚4.5mm、切羽台厚3.8mm。・象嵌部の拡大金と銀の点象嵌は綺麗な丸い形をピッタリはめ込んでいるというよりは、球のような窪みにラフに打ち込んでいる様子が見られる。因みに象嵌が外れている部分もいくつかあり、その
2024年5月7日 22:41
成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に
2024年5月1日 23:55
最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。古金工極めの花弁虫散図鐔である。縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。材質は鑑定書では四分一とある。縦に魚々子が入り古色が感じられる。「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。一方で描かれた草花は多い。草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。更に鐔全体を駆け抜けるように