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外国人にワクワク楽しく働いてもらう為に (5) 生理的欲求 ②残業/休日の適正管理

このnoteでは、外国人労働者の受け入れを検討されている中小企業の皆様が、外国人労働者に働きがいを感じてもらいながら生き生き働いてもらえるような環境を作る為のお手伝いをさせて頂いています。

前回は、外国人労働者を受け入れる企業側での具体的な対策の全体像の内、マズローの欲求5段階説の最初の欲求である生理的欲求についてと、その①として社宅について説明させて頂きました。

今回は、生理的欲求のその②として残業・休日の適正管理に関してご説明します。

残業と休暇は外国人労働者が勤務先を選ぶ時の重要な基準!

平成十九年厚生労働省告示「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、事業主が講ずべき措置の一つである「適正な労働条件の確保」の項目として「適正な労働時間等の管理」と「一時帰国への配慮と援助」についての努力義務が規定されています。

これらの規定はあくまでも努力義務であり義務規定ではありませんが、「外国人労働者が失踪する理由」の上位3位までには必ず「過重労働・時間外労働の割増賃金の不払い」等が含まれていることや、外国人労働者が「あったらいいなと期待する福利厚生」の上位に必ず「本国への一時帰国ができる休暇制度」が挙げられていることを考えると、受け入れる我々として自ら改善し、他社と差別化することでそれを外国人労働者にも御社のメリットとして積極的にアピールすべき点だと考えます。

表2 残業と帰国休暇に関する政府指針での努力義務規定

労基法違反は外国人労働者雇用において致命傷に

  • 労働条件に関しては、労働者の国籍を問わず、通常の労働者・技能実習生・特定技能などの雇用形態に関わらず、労働基準法が適用されます。つまり日本人の社員の皆さんと同じ労働条件を適用しなければなりません。

  • 労働基準監督署等が外国人技能実習生の実習実施者に対して行った令和5年の監督指導データによると違反件数の第4位が「労働時間」で、第5位が「年次有給休暇」となっています。このように、労働基準局の臨検では「労働時間の超過に問題がないか」も当然重点的に監査されます。

  • 仮に36協定を作成してきちんと届け出ていた場合でも、「2~6か月の時間外労働・休日労働の平均は80時間以内」等の細かい規定に違反した場合には、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられ、更に最大5年間技能実習特定技能も外国人労働者の受け入れ自体が出来なくなってしまう可能性がありますので注意が必要です。そうならないように、外国人労働者の受け入れを実施される前の段階で労働条件のコンプライアンスについて総点検を行うことをお勧めします。

繁忙期等休みが取りにくい時期がある場合の注意

有給休暇や休日が繁忙期に取りにくくなる業種の場合には、入社前にそうしたネガティブな制約についてもしっかり説明した上で選んでもらうようにすることが後々の無用の軋轢を避けるためには必要だと思います。当然そうした場合にまとめて有給休暇が取れるとか、年に一度帰国休暇をとれる制度を整備しておくなどの配慮も合わせて説明できれば決して問題にはならないと思います。

3333の法則(余談)

これは私が過去4回海外赴任をして経験したことなのですが、単身で初めての国での生活を始めると渡航前の準備の疲れや、新天地での慣れない生活や人間関係での緊張や疲れにより、3日目・3週間目・3か月目・3年目で必ず調子が悪くなって、酷いときは高熱で寝込んだりしたものでした。周期はその人によって違うとは思うのですが、それに近い周期で新しい環境への対応の為の休憩が必要になるものだと思いますので、そのタイミングで勤務シフトには余裕をもって一日だけでも休ませてあげられるような配慮があると、きっと良い会社だと思ってもらえると考えます。

外国人労働者受け入れに当たって、何か一つでも皆さんの参考になる点があれば望外の幸せです。もしご質問等あれば遠慮なくお問い合わせ下さい。

変更履歴

初版公開 2024年11月16日


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