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『骨を弔う』読書感想。


”骨格標本が山から出てきた”という新聞記事を目にした豊は幼馴染の真実子が学校から盗み出した骨格標本をその他の3人の幼馴染たちと山に埋めに行ったことを思い出し、その記憶に不穏な違和感を覚える。
果たして、幼馴染たちと埋めた骨格標本は本当に標本だったのだろうか。
その謎を探るべく、記憶を共有する幼馴染たちの元を一人一人訪ねていく。
豊と同い年の40歳になる幼馴染たちは、昔と変わらず一本気な豊と会い、昔を思い出すことで、子供の頃に持っていた活力を徐々に取り戻していく。
この幼馴染たちがもう一度子供の頃の気持ちを取り戻し、謎を解いていくという少年少女冒険譚が表向きのテーマだけれど、私見としては裏テーマとして、町のマドンナ、豊たちより10歳ほど年上の琴美を姫とした、『白雪姫と7人の小人たち』隠されているような気がしてたまらない。
琴美は自分が全ての悲劇の原因となっているのに、自身で何一つ解決できず、最終的にひと回り歳下の真実子に泣きつき、真実子がその尻拭いをすることとなってしまう。
生まれ持っての純粋さと鈍感さで、面倒くさい後始末は皆周りが進んで引き受けてくれているのに、琴美本人はそのことに露程も気づかない。
琴美を陵辱した原口の罪は重いけれど、そもそも琴美が仕事先の使い込みをしていなければ、弱味につけ込まれることもなかったのでは?

美談だけでは収まらず、奥底に隠された闇の閃きまでも見せてくれる二重構造が世界の奥深さを実感させてくれる。

平面から立体が立ち上がっていくような面白さのある小説でした。

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