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怪談を聴く、4年目

今年で4回目となる怪談を聴く。
コロナ真っ只中に始まったこの企画、地元で落語会を定期的に計画されている万葉亭小太郎さんと、民話と音楽を笠間で少しずつ結びつけながらやっている琵琶奏者の石引康子さんと私の活動が年に一度コラボする企画で、私にとっても普段と違う演奏になるため、勉強させていただくことも多く、大変貴重な時間となっております。落語だけでもなく、語りでもなく、音楽だけでもない、また少し違うジャンルができたような感覚で、毎年楽しみです。

4年前にこの企画を小太郎さんに打診した時に思ったのは、音楽(邦楽を中心とした)で夏の風物詩でもある怪談と関わることはできないだろうかということと、本当に怖い話だけになってしまうと、ただ怖かった、で終わってしまいますが、落語のようなユーモアのある部分だったり、オチがあったり、人間の喜怒哀楽が少し織り込まれた内容ですと、人の心に様々な感情を残すことができて、多面的な届き方をするので面白いなと感じた事を覚えています。

4年目になった今年は、怪談とは言っても少し変わり種で、孫帰る、一眼國を落語と、ピアノと琵琶で葵上をお届けしました。どれも変化球の作品であり、孫帰るは親族がお盆に帰ってくる話、一眼國は見世物小屋のとても怖い話し、葵上は今年の大河にまつわる作品として取り上げましたが、女の執念の詰まった怖さの話でした。いつの世も、女の嫉妬や執念、怨念というのはあるもので、悪役の気持ちもよくわかる作品で、それを素晴らしく語って、一緒に演奏してくださった石引康子さんにも大変感謝しております。

どの作品もただひたすらに怖い、というだけではなくて日本の古い言葉、文化、風情、当時の時事ネタが端々に織り込まれていて、作品の言葉やそこにつける日本の音階を使った音楽などからかつての空気が匂い立つ時間を私もその場で体感させていただき、贅沢な時間だなと1人感じておりました。

小太郎さんの毎年のチョイスも、昨年は大作牡丹燈籠だったり、その前はのっぺらぼうや、もう半分といった少し気持ちの悪い怪談も取り上げてくださったりして、その年その年のカラーがあり、その幅の広さに私も毎回勉強させていただいてます。そしてそれをただ怖いだけではなく、深く、時に面白く語ってくださるその落語にいつも助けていただいております!

昨日は満員御礼に近く多くのお客様が来てくださり、本当にありがたく感謝な会となりました。
このコラボした形が、コラボです、とか、イレギュラーで、とか珍しくて、とかではなく、知らないうちにこれは夏になるといつもやる事で、とか、日常的に笠間ではこれはやってますね、って形になるまで浸透する事を目指して、深く人々の文化の中に溶け込んでいける事をこの先も目指して頑張りたいと思います😊

そして最後に、毎年ご協力してくださる井筒屋館長の梅原さんはじめスタッフの皆様に感謝です。スタッフの皆さんもこういった企画やその内容に興味を持ってくださり、それにまつわる話を調べていたり、私よりも詳しかったりして、何事にも興味を持って日々を過ごしている人が集まっているからこそ、こういった最初は珍しく新しい企画もここまで定着して継続できるのだろうと思っています。出演者だけでなくその企画を作る、携わるすべての人がそれを面白がって関わってくださることこそ、この笠間の、井筒屋の素晴らしいところだなと思ってます。

そして、入り口には、こちらも井筒屋とトモアのスタッフである友部さんが制作してくださった、怪談用のパネルを飾らせていただきました。この日のために、お化けや花火など、素晴らしい画力で制作してくださり、この企画が愛されているな〜とその愛をビシビシと感じた次第です。本当に嬉しいですし、我々は幸せものだなと実感する1日でした。

こういった皆さまと作る企画をさらにこの先も継続しながら、そして最近では一番自分の表現したい事の1回目は絶対笠間でやるようにしておりますので、この先も頑張っていきたいと思っていますので、是非笠間へ遊びに、音楽や文化に触れにいらしてください😊

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