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#94 Taffety Tarts(タフタタルト)問題について(その2)

タフタタルトの後日譚

#93でお伝えしたタフタタルトだが、実はOEDの掲載が2018年である。伝統的なお菓子の割には、エントリされたのが最近なので不思議だと思っていたところ、その謎が解決した

Word Stories

OEDにはWord of the Day以外にいくつかコラムがあり、その1つがWord Storiesである。一見World Storiesと空目しそうだが、そうではない。このWord Storiesの説明の最初の単語がなんと、Taffety Tartsであり、読むとその経緯が示されていた。ちなみにtaffetyとは光沢のある織物を意味する

Folger Shakespeare Library

このタフタタルトの背景にあるのがFolgerのShakespeare図書館である。Folgerは今のエクソンモービルにつながる会社の役員をしていた人物だが、妻と協力してその図書館をアメリカのワシントンD.Cに作った。Shakespeare好きだったのだろう。このFolgerさんは図書館のopen前に残念ながら亡くなるが、その意思を継いで奥さんが尽力しopenしたとのことである。

この図書館とOEDは、いくつかプロジェクトを協力して行っているという。その1つが 16〜18世紀の手書き文書をボランティアの人々が書き写してデジタル化するものであり、その手書き文書に含まれる多数のレシピ本の中に見つかったのが、タフタタルトとのことだった

最も古いレシピは?

そこで脚光を浴びたタフタタルトだが、発見されたレシピで最も古いものは、歴史レシピ研究家として著名なMary-Anneさんが見つけたものとのことで、1651年のものとのことだ。レシピにあるということは、だいたいその江戸時代初期には結構食べられていたということを意味するのかもしれない。しかし、時代とともに、きっとタフタタルトは流行り廃りの波にもまれ、一旦はその名を歴史から消し、また時代が進むとともに発見され、光を当てられ(taffetyだけに)、世間の目に留まるようになったという経緯だと言える。

Word of the dayでその定義を見るだけでは、その背景は分からない。しかしなぜその語に脚光を当てたのか。その些細な疑問を大事にして、丹念に調べると、興味深い事実や物語が浮かび上がる。そんな一例だと言える。

今日はそんなところです。


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