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遮らない、妨げない: 会社の看板を背負って謝罪するということ

人は妨げられると不快に感じます。
相手を理解したり許すことを妨げることは、私は勧めません。

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幼い頃の私は、親に叱られると「ごめんなさい」と謝るものの、
「もう二度としません」と約束することに躊躇う個性でした。

「わざと悪気があってやったことじゃなくて、
分からなくて、間違えてしまった。
もう二度としません、絶対しませんと、
出来ない約束をしてはいけないもの」と、
当時は幼くて言語化出来ませんでしたが、
幼いなりに責任感が芽生えていました。

親はその水準ではなく、今回のことに限定して
説教しているのですが、まだ幼かったから
分からなかったのですね。

対照的に、5つ下のきょうだいは、秒で謝っていました。
環境が同じでも、個性があります。

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時を経て、私はECサイト黎明期のコールセンターにご縁があり、勤務しました。

我が社では、お問い合わせの電話やメールをさせてしまった時点で、
私たちに改善の余地があると認識していました。
だから、経営陣とコールセンターは距離が近いし、WEBチーム・営業・インフラなど、
他部署との連携も行っていました。

何も言わず買わなくなるお客様は一定数いらっしゃるので、
手間をかけて電話やメールをして下さったことは、
お客様たちが何らかの信頼をお持ちで、
最後のチャンスを下さったと受け止めていました。

ゴールキーパーみたいなポジションです。
シュートを妨げる意味ではなく、一番後ろでキャッチする意味で。

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事実確認と再発防止、共感は基本です。
例えば、横浜へお届けするお荷物が山形へ向かっているのはなぜか、必死に調べます。

しかし、それだけでは不十分な場合があります。

「話が循環する」お客様に対しては、別のアプローチが必要です。
繰り返されていると気がついたら、私が話すタイミングで、簡潔に要約を伝えました。
仰られることはごもっともで、それはこのようなことですよねと言外に伝えます。
分かろうとしてるし、ここに確かに人がいますよと、伝わることを願って。

すると、徐々に「そうなんだ」と仰られる確率が上がります。窓口である私との、信頼関係も育ち始めます。

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今思えば、ナラティブアプローチみたいに、
お客様ご自身が、自分に起きたのはこういうことで、
許せなかったのはこの理由だと納得するために
「語り直して」いるかのようでした。

ですから、先述したアプローチはお客様ご自身の納得を見つける事を邪魔しない、
妨げない聴き方だと抽象化出来ます。

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思えば幼い頃、謝ることが不器用で、ごめんなさいは言えるけれど、
できない約束はできないから軽はずみ言えない葛藤を持った私が、
時間帯の責任者ですと、エスカレーション対応で、
「上のものを出せ」と言われて電話を変わることに、
人生の不思議を覚えるのです。
不器用さが、鍛錬すると、天職になったのだから。

自分がしたミスではなく、自社のミスを謝罪して
「ゴールキーパー」を続ける事で、仕事から学び
文字通りお客様に育てていただけたから、
妨げないように遮らないように
自分で選んで行動できた事を、誇らしく思うのです。

マニュアルには無かったことだから。

#自分で選んでよかったこと

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