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中医学でみる「肝」のはたらきと不調の対策 その③

7月に最初の月曜日。
時折ザっと降る雨と、南風の影響のせいか
肌がベタついて、なんて湿気た日だ! な一日でした。

こんばんは YOです。

今日は前回の続き、「肝」の不調のタイプとその養生についてです。


③肝の陰が不足して熱が生まれている 肝陰虚(かんいんきょ)

・主な症状:頭がぼんやりし、めまいがする、耳鳴り、頭や目が張ったように痛む、顔がほてる など。

・判断ポイント:焦ったり怒ったりしやすい、腰や太もも~膝がだるい、頭が重く足下が心許ない、不眠、夢が多い、寝汗 など。

更年期世代に表れてくる、ほてりやのぼせなどの症状もここに当てはまります。

ちなみに、前回の肝血虚と一番の大きな違いは
熱(高熱ではない)があるか無いか です。
陰は、平たく言うと体の血液を含む水分などの事を指します。

【予防改善のために】
・過労しないこと
・辛い物をさける
・過剰に汗をかかないこと

今流行りのサウナなどは、陰虚のタイプの方は避けたほうが〇です。
そもそも体に足りない水分を、大量の汗で出してしまったら、もっとほてりや他の症状がひどくなってしまいます。

≪薬膳ポイント≫
・陰を養う食材
山芋、白木耳、人参、モロヘイヤ、貝柱、牡蠣、ぶり、ほたて、豚肉など

④肝陰虚の虚熱が原因で肝の熱、気、血が上に上がる 肝陽上亢(かんようじょうこう)

こちらは、肝陰虚をそのまま放っておくと表れてくると言われています。

そもそも「肝」は非常に陽的であり、陰的でもある臓腑です。
肝陰、肝血がたっぷりないと肝陽がふわふわと上に浮いていってしまいます。
その抑制が出来ないと、気が暴れてきて様々な症状が出てきます。
もともと、肝の気は上に上がりやすい性質なのです。

また、こちらは経過が急性とやや慢性があり

・急性の主な症状:熱の症状が強い、めまい、耳鳴り、頭痛、目痛、怒りっぽい、ほてり
・判断ポイント:出血傾向がある

・やや慢性の主な症状:発熱の症状があるとは限らない
急性と同じような症状が出るが、出方が地味な感じ

【予防改善のために】
・精神的ストレスの緩和
・疲労しすぎない、徹夜もさける
≪薬膳ポイント≫
陽気の上亢を鎮めて肝気を正常にしていく食材
菊花、アロエ、おかひじき、クレソン、セロリ、トマト、ピーマン
くらげ、レモンバーム、ラベンダーなど。

その他にも、陰を補い、熱を冷ますものもプラスしていくと良いです。

⑤熱をもった老廃物が肝の経路を邪魔している肝胆湿熱(かんたんしつねつ)


・主な症状:脇や肋骨のあたりが灼けるように痛む(特に右)
食欲不振、お腹が張る、目が黄色い、湿疹、帯状疱疹
尿の色が黄色い、尿量減少 など。
・判断ポイント:おいしく食べられない、尿の色が黄色い
 舌苔黄膩(体内に余分な水分と熱が停滞しているときに現れる舌の様子)

体内で生じた湿気と熱が、肝や胆に影響を及ぼします。
その為、上記のような経絡上に問題を起こすことが多いです。

【予防改善のために】
・食べ過ぎないこと
辛い、油脂、濃い、甘い ものの摂りすぎ注意
・怒らないようにうまくストレス発散

この体質は水と火なので本来相容れないので、ちょっとやっかいと言われています。

≪薬膳ポイント≫
・熱を冷ます食材
菊花、きゅうり、青梗菜、セロリ、レタス、西瓜、メロン、あさり、しじみ、ひじき、馬肉、緑茶など
・余計な水分を捨てる食材
はとむぎ、小豆、緑豆、とうもろこし、あおさ、昆布、もずくなど
・巡りを良くする食材
ピーマン、三つ葉、レモンバーム、グレープフルーツ、ライチ、カモミール、ジャスミンなど

さて、ここまで5つのタイプについてお伝えしてきましたが
細かく見ていくと、さらに様々なタイプが存在します。

全てご紹介出来れば良いのですが、主なものに限らせていただきました。

「肝」について、まとめると

『気の巡り』『消化吸収のバックアップ』『感情の調節』の担当。

働きがスムーズならば、全身の気血の巡りが良くなり
・全身の臓腑、器官の働きが正常
・胃腸の動きも元気!
・明るく前向きな気持ちをキープ 
といった体の状態を保つことができます。

また、タイプにおすすめの食材ですが、1個だけを取り続けることはマイナスです。様々なものをまんべんなく、かつ
「肝」と関係の深い味「酸味」を過不足なく加えてあげましょう。

ほんの一部のご紹介ですし、これが絶対はありません。
ただ、何となく不調があって当てはまりそうなところがあれば
自分で体を元気にしていくこと【身体ケア】の、選択肢のひとつにしていただけたら
と思います。


YO

#中医学
#身体ケア

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