【消化吸収のドン】中医学でみる「脾」のはたらき① 中年期以降を健やかに過ごすために
これまで五臓のはたらきについて、それぞれお伝えしてきましたが
今回は「脾」についてです。
私にとっては、楽しみのひとつが食べる事♪
その食べる事に一番関連がある臓が「脾」です。
では、「脾」にはどんなはたらきがあるのか?について
みていくことにしましょう。
「脾」の大きなはたらきは3つ!
「脾」のはたらきは、大きく分けて3つあります。
①運化
②昇清(昇提)
③統血
です。
それぞれひとつずつみていきます。
①運化について
口から入った飲食物の消化吸収を管理しているのが「脾」です。
胃や小腸で消化されたものから
【水穀の精微】(=栄養素)が作られます。
「脾」は、この水穀の精微を吸収し、他臓にお届けしています。
これら一連のはたらきのことを、『運化』と言います。
「脾」が元気だと
・消化吸収がスムーズ
・全身の必要なところに届けられる=健康
「脾」が元気ない
・様々は不調があらわれる
→消化不良、食欲不振、胃のもたれ など
「脾」が元気なことで、他臓も正常にはたらくことが出来
それが心身の元気につながるといえます。
また、栄養素をお届けするだけでなく
水分代謝にも関係しています。
水穀の精微を吸収した残りの水分を、分別してから他臓に届けるのは
「脾」のはたらきです。
このはたらきが正常であれば、余分な水分が体内に残らずスッキリします。
逆に、はたらきが低下すると不要な水分が体内に残り、むくみや重だるさが起こってきます。
②昇清(昇提)について
『昇清』とは
吸収した栄養を上(「心」「肺」「頭部」)に上げるはたらきです。
ここで、大切になってくるのが
「脾」「胃」のバランスです。
どちらも消化吸収に関係していますが、
「脾」→上に上げる
「胃」→下に下げる
と、はたらく方向が違います。
ですが、このバランスがかみ合うことで、
気の巡りが調子良いバランスで、良い状態が保たれます。
また、内臓をあるべき位置から落ちないようにとどめておく
というはたらきもあります。
これが低下してしまうと
胃下垂、子宮脱、脱肛などのトラブルが起きてきます。
③統血について
『統血』とは
血が血管外に漏れ出るのを防ぐはたらきです。
はたらきの低下は
内出血しやすい、不正出血、経血量が多いなど
出血症状があらわれてきます。
以上が「脾」の大きな働き3つとなります。
その他「脾」に関連する体の部分や感情など
「脾」の働きとも大きく関連する体の部分が、口や唇です。
「脾」の働きが正常であれば、味覚も正常でおいしく食事をとれます。
逆に、「脾」が弱って働きが失調すると、味覚異常や食欲不振などが起きてきます。
また、唇との関連では
「脾」の弱りで働きが失調すると、ツヤが失われたり、色が淡泊になるなどの変化が起きます。
ここまで見ていただくと、前回の「腎」同様
中年期以降の健康を守るために、「脾」の養生が大切なことが
みえてくると思います。
やはり、大切なポイントは、『腹八分目』 (耳が痛い…)
いくら「脾」が丈夫でも、食べすぎたらそれが老廃物になります。
気血の量や運化出来る量に個人差があるので
一概にどのくらい食べたら良いとは言えないところ・・・
だから
・自分で自分のからだを良く観察してみること
・あまりくよくよしないこと!
「脾」に影響のある感情は「思」とあります。
くよくよ思い悩むと「脾」が弱り、その逆もまた然りということ。
年齢を重ねることは止められませんが
少しずつでも、自分を大事にしてあげようと、色々気を付けることで
その後のからだが確実に変わってくるはずです。
「脾」の養生の為にどんなものをとってあげるのが良いのか?
次回はこの辺りをお伝え出来ればと思います。
何かひとつでも参考になることがあれば嬉しいです。
お付き合いいただきありがとうございました。
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