(本)「きみの町で」(重松清)
「世の中にはもっと大変な人もいるんだから」
小さい頃、周りの大人から言われたことありませんでしたか。
例えば、嫌いなものを食べ残したり、無駄使いをした時とか。
「飢餓で苦しんでる国もあるのよ」
「買いたくても変えない人もいるのよ」などだ。
「うーん、それはわかるけど、私の気持ちはそういうことじゃない…」
と何だかしっくりこなくて、
それがいまだに違和感として残っているんです…。
だけどこの本は素直に、
同じように悩んでいる人もいるんだ、
自分だったらどうだろうって思えたんですね。
「きみの町で」は、小学校高学年の子供達が主人公の短編集。その年齢の子供達向けに「哲学って何?」を考えることをテーマに書かれたそう。本の半ばに、東日本大震災を描いた話が挿入されいて、より一層「生きるって何?」が浮かび上がっているように思いました。さらに、最後から2番目に「S氏」というお話が。これ、重松清さんご自身の実話として、親友が自死した時のことが語られています。死というものに、ぐっと踏み込まれてます。
「きみの町で」は、一つ一つの短編は身近な内容ばかり。
電車で席を譲れなかった時、
友達のことを嫌いと思った時、
仲間外れにされたくなくて空気を読んでいる時。
こんな時のモヤモヤ。
自分だけが感じてるの?
他の人はどう思っているんだろう。
そもそも自分って何?
40も半ばになる私が読んでいてドキドキします。
思春期に差し掛かった小学校高学年の子たちにはもちろん、
もう一度立ち止まりたい大人の方にもぜひおすすめしたい1冊です。