新刊 ・ 『 この季節が嘘だとしても 』(講談社文庫)発売のお知らせ ・ 5
引き続き販売中であります。
今回はこちらの記事でちらっと書きました、装画をご担当いただいた伊丹小夜さんの表紙ラフ画。
快くご許可くださりありがとうございます!>伊丹さん
いただいたラフ画は5枚。
最終的に表紙になったものの原型。
主人公とその従姉が浴衣で祇園祭を見物した過去エピソードを画題にしていただいています。
こちらもお祭りモード。
お話内容に比べてちょっと爽やか感が強い感じ?
浴衣主人公と、物語の重要な要素である中国茶器。
ぽつぽつと模様のように描かれた茶器がキュートです。
浴衣主人公&従姉と中国茶器。
うっすら漂う不穏な雰囲気が良き。
従姉に昔もらったワンピースを着て、物語の多くの舞台となる中国茶店のカウンターに座る主人公。
膝の上にはお店の看板猫・すいおん。
わたしはとにかくこの5枚目が本当に好きで。
物語内のお店描写では家と家との隙間に押し込まれたような場所なので、ここまで窓からの眺めが広々としてはいないんですが、このすうっと冷たく澄んだ秋の空気が胸の奥まで入ってくるような紅葉の情景がとても好きです。
それから、主人公が後ろ姿であるところも。
「嘘」がテーマの物語で、自分を消し去り、他人のふりをし、心情を隠して相手に近づく主人公の絵が後ろ姿であることがとても良いと思いました。
ただ担当さんと装丁デザインさんの推しは1。
確かに「表紙」である、ということを考えた時に圧倒的に強いのは1だなと自分でも思います。
本において「京都」をタイトルに入れるとそれだけで伸びる(笑)、と判ってはいるんですが、自分にはこのタイトル以外考えられなかったので、せめてイラストだけでも京都っぽくするのは重要です。
何と言っても自分はイラストやデザインについてはど素人なので、最終的にはプロの意見にお任せです。
ただ、1番にする場合でも「後ろ姿」でお願いしたい、と伝えました。
また、主人公と従姉、二人のある種「依存」にも近い強い強い結びつきが見てとれるように、互いをぴたっと支え合って立っているような感じにしてほしい、とも。
それでいただいたラフ画がこちら。
これでいきましょう、ということになり、できあがってきた表紙がこちらとなります。
こうして見るとつくづくと良い色合いです。
実際のこの時期の京都の夜は蒸し風呂地獄ですが、このひたひたと冷たく暗い夜の闇、その中に光る駒形提灯、雑踏の中でもふたりきりで寄り添って、未来のことなど何も知らずに立つ姿。
ちなみにこの過程で、未練がましく5番目にもタイトル入れたイメージつくっていただきました。
うん、やっぱりこれもいいなぁ〜。
ただ改めて見て思うのは、単行本サイズだったら5だけど文庫サイズではやっぱり1だなと。
単行本の大きさだと、この広々感が大変気持ち良いのですが、文庫、特に帯を巻いた状態だと5の良さがあまり伝わらない予感がします。
それにしても、こんなに候補があってその中から選べる、というのが初めてだったので、選ぶ楽しさと苦しさを同時に味わいました。
たくさんの案を考えていただき、こちらのお願いにも即座に反応してくださり、こうして公開もご快諾くださって重ね重ねありがとうございます!>伊丹さん
こんな素敵な表紙を持つ物語、読んでみたくはなりませんか?
こちらから試し読みもできますよ。
ぜひ!
(以下過去記事です)