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今はもう消えてしまった京都の本屋のはなし・7


だいぶ先が見えてきましたが、本日も京都の消えた本屋のはなし(トップ画像にはMorihiro Matsushiro氏の写真を使わせていただいております。多謝)。
今までの記事はこちらのマガジンにまとめました。


5回目の記事で、三省堂書店のことを書きました。
その際に「京都に三省堂あったのか、て人もいるかも」と書きましたが、今日もそんな書店。
紀伊國屋書店です。


これも「えっ、京都に紀伊國屋あったのか」て驚く人が多いかも。
しかも2店もあったのですよ。

1軒は1997年にゼスト御池がオープンするのと同時に入店。
でも2003年に撤退。


ここはねえ、大変申し訳なくございますが、殆ど行きませんでした。
何と言うか、ポイントがボケていたと申しましょうか。

どんな業種であれ、「お店をしよう」と思ったら、「自分達が狙う客はここ」ていうのをある程度事前に定めると思うのですよ。
「女性8・男性2」とか「地元3・観光7」とか「若者9・年配1」とか。
そういうのがちゃんと決まってないような。

それはこの店だけじゃなく、ゼスト御池という施設全体がそんな感じで、この場所を全体的にどうもっていきたいのかがちょっとよく判らなかった。
京都の御池通の河原町〜烏丸辺りはいわゆるオフィス街で、そういう客に絞るのが一番良かったのではないかと思うのですが。


最近は全然行っていないので今の雰囲気は判らないのですが、できた当初は出来立てなのに本当に人気が無かった。
ゼスト御池の東端は地下鉄京都市役所前駅で、つまりゼスト御池に行く多くの人はここからスタートする訳で、でも書店は殆ど西端の位置にあったのも痛かった。

ちょっと記憶が曖昧なのですが、当初は西の方の通路が閉めてあって、なんか一方通行みたいになっていたのかな。そのせいか本当に本当に人の気配がなく、オープンしたてなのにどことなく廃墟感さえありました。
その、何となく気持ちの暗くなる感じも行かなくなった理由のひとつです。
何故か通路を挟んで店が分かれていて、使い辛かったこともある。

ゼストのサイトを見てみたら、今はふたば書房さんになっているのですね。知らなかった。
ふたば、大変好きなお店であるので長続きしてほしいです。今度行きます。



もう1店は、三条のMOVIX京都店。
三条を新京極入ってすぐのところに、MOVIX京都がありまして。
開館は2001年だったのですが、2005年にもう1棟建てまして、その際に入店。

これはもう、驚きでしたし嬉しくもありました。
何しろ映画館が増えるのが嬉しい。一番好きなのはミニシアターなので、大手が増えるのはどうなのかと思わなくもないのですが、入り口というのは多い方が良いものです。問題は、スクリーン数が多すぎることではなく、映画を見る人が減っている方なので。
大きな映画館で映画を見て、「映画っていいな」と思い、「こんな映画がこんな映画館でやっている、行ってみよう」とミニシアターの沼にはまる人が増えるのが理想です。

閑話休題。

映画館が増え、その1階と地下が本屋さん。
こんな素敵な状況ってあるでしょうか。ハンバーグと唐揚げが一緒に乗った定食のようです。
大変なときめきでした。


ここは、1階の記憶は実はちょっと薄い。CDとか雑貨とかが多かったからでしょうか。
でも地下は大変感じが良かった。
品揃えの感じは若めの、と言っても未成年とかじゃなく、ある程度大人で落ち着いている若い女性狙い、といった雰囲気。
実際のお客さん層もそういう感じの人が多いように見えました。
見ているだけで楽しくなるような料理本が多いなと思った記憶が。

ただいかんせん、場所があまりよろしくなかったのかも。
どうしても新京極、観光用の通りです。若者も多いです。
狙う客層と、通りを使う人がズレてしまっていたように思います。

2011年に撤退した後はゲームセンターになってしまって、悲しかったなあ。
それからは映画に行く時しか建物に入らなくなりましたが、入ったところの通路が一気に煙草くさくなったのも辛かった。
今はもう禁煙なんでしょうかね? 昔より匂いがマシになったなと思っているのですが。


上記のように新京極は観光客も多いですが若者も多いので、この変遷は致し方ないものなのかもと思いつつ、やはり書店が減っていくのはさみしく。
何気なく歩く街のあちこちに、ふっと立ち寄れる本屋さんがあるのがわたしの好きなタイプの街です。

そういう試みを応援しています。
ぜひご一読ください。


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