【短編】CRAZY BOYFRIEND テーマ:見惚れる
私の彼氏で超能力者の祝くんが失踪した。
ダイエット中の私は家のベランダで両腕をぐるぐると回し続ける。
一ヶ月も連絡がとれないなんて、初めてだ。
まさかと思うけど、最近二の腕が太ったことに気づいて引いたのかもしれない。
いやいや大丈夫、私大好きクラブに入っているちょっと変わり者な祝くんだもん。
でも、じゃあなんで連絡がないんだろう。
不安は徐々に膨らんでいく。腕の回転率も上がる。
もし、祝くんが犯罪に巻き込まれていたらどうしよう。もうほっぺたにチューすることも、言葉を交わすこともできないのかな。
腕に力を入れる。
そんなのって絶対嫌だ!
途端、私の足もとはぐらりと揺れて浮かび上がった。冷たい風が体に巻き付き、腕はぶんぶんと回したまま大空を飛翔した。
祝くんの場所は、風の流れが教えてくれると直感した。
神様、私、太っていてもいいから、祝くんに会わせてください!
腕を翼にして、私は海を越え、時を超え、どこかの国の火山のふもとへ飛んでいく。
土まみれの西洋人の探検家たちの中に、祝くんがいた。大声で名前を呼ぶ。
祝くんは瞳孔が開いた目でこちらをじっと見つめた。私は、彼の肩をつかんで着陸した。
「まなちゃん、いますごく綺麗だったね!けど、どうしてここに?よく時空を越えられたね。ここは1870年代のダイヤモンド炭鉱なのに」
「知らないよそんなの!祝くん、ばか!心配したじゃないの、なんで急にいなくなっちゃうのよ」
「だって、その、ああもう言っちゃおう。鉱石を採掘して結婚指輪にするつもりだったんだよ。この時代ならまだ手に入りやすいから。
一生忘れないくらい、特別なものにしたかったんだ。
ね、結婚しよ。僕は、まなちゃんじゃないとだめなんだ」
私はべしょべしょに泣きながらがくがくとうなづき、痙攣する腕で祝くんに抱きついた。
「私だって祝くんしかいないもん!」
祝くんは私の涙を拭ってちょっと笑った。私はふと気がついて言った。
「そういえばこれってどうやって帰るの?」
すると彼は、肩をすくめて首を傾げた。
わかんないのかぁ、じゃあ仕方ないね。だって今は砂糖菓子みたいな気持ちだから、なんだって許しちゃう。
そんな私たちを見て、探検家たちは「so crazy.」と呟いたのだった。
fin
―――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは!高木梢です。
今回のテーマは、「見惚れる」です!
仕事が始まり、体調を整えよう運動をしていたらすっかり低浮上になっていました。(体調が悪かったわけではありませぬ。昼夜逆転という魔物と戦っておりました。やっつけました。)
小説の事はずっと考えていたのですが・・・。
昨日、フォロワーさまの投稿にスキをポチポチと押していたら、なんとこんな感じの表示が。
「スキ 上限に達しました。」
え、ええー!そんなツムツムみたいなシステムだったのー!
いや、フォロワーさまが仰っていたので知っていたのですが、実際にあるんだ・・・という感じです。
しばらくしたら直りましたよ~♪
もし、祝くんとまなちゃんがお好きな方がいましたら、こちらもぜひ↓
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
素敵な画像をお借りしました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?