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はがきサイズの物語✉️❤️

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平穏でかわいい短編小説です。 頻度が高めの不定期更新。
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#小説

【はがきサイズの短編】秋の日のドローレ テーマ:桜前線

ハロウィーンの朝、秋の国の王子ドローレが窓を開けると、強そうな剣に見える大きな枝を発見し…

高原梢
1か月前
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【はがきサイズの短編】アイシャドウパレット テーマ:紫陽花

ハイドランジアブルー。わたしにとって、永遠の青。 6月の今日、晴れてよかった。 北棟3階、…

高原梢
4か月前
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【はがきサイズの短編】土が語る物語 テーマ:始まり

青く光る星が、宇宙飛行士に話しかけた。 「おれ、実は、ドクダミ草だったんですよ。」 宇宙…

高原梢
5か月前
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【はがきサイズの短編】よいお年を テーマ:大晦日

  大人のおしゃべりってなんて返せばいいかわからない。  こんにちは~、今年も早いわねえ…

高原梢
1年前
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【はがきサイズの短編】赤いポストの陰に山羊 テーマ:ポスト

ぬそっとポストの陰から伸びた影は、まぎれもない白山羊だった。 昼休憩から帰ってきた局員、…

高原梢
1年前
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【はがきサイズの物語】妄想閉会式 テーマ:閉会

早く終わんねえかな。 体育館の天井に挟まったままのバトミントンの羽を数えるのにも飽きた。…

高原梢
1年前
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【はがきサイズの物語】午後八時のお布団にて テーマ:畑違い

「ママ、お話し聞かせて!」 「……お話し?」 幼稚園で何か聞いてきたのかしら。ピンクの羽毛布団にくるまりながら、花音は早口で喋った。 「絵本のママはさ、寝る前にさ、いつもお話ししてくれるじゃん。絵本を読むとかじゃなくてさ、自分で作ったお話し、話してくれるんだよ。」 ははあ。そういえば、今日は読み聞かせ会だったな。 私にとってそういうクリエイティブな分野は全くの専門外。 だけど、花音は一度言い出したらきかないから(というより早く寝てほしいから)やってみるか。案外おも

【はがきサイズの短編】お忍び王子?アキラ☆ テーマ:野原

チャオ☆ ボーイズアイドル青春マンガ『ミニ☆メモリーズ』のカリスマ王子のアキラです。 ミ…

高原梢
1年前
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【はがきサイズの短編】サイキックスとのデート テーマ:念力

地球は青かった、は本当だった。 澄んだ青と、白などがマーブルされた小さなまんまるを眺めて…

高原梢
2年前
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【はがきサイズの短編】言葉なんていらない テーマ:人間(にんげん)

    暇だな。ボーッとしてみるか。   どこまでも続く青空と、光にとける銀杏の金色。落…

高原梢
2年前
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【はがきサイズの短編】内輪ノリハイツ4649号室より  テーマ:爆笑

やばい!あたしは取り返しのつかないことをしてしまった。こんなときは、隣に住むお姉さんの部…

高原梢
2年前
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【はがきサイズの物語】みんな祝日だったらいいのに テーマ:勤労感謝の日

齢五十過ぎの課長補佐、小鳥遊は尻をかきながら職場の扉の前で呆然と立ち尽くしていた。 「勤…

高原梢
2年前
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【はがきサイズの短編】Young butterflies テーマ:白い羽

  「白い蝶についていくと、素敵な場所に行きつくんだって。」  小学生のとき、一番の悪友…

高原梢
2年前
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【はがきサイズの短編】うたかたの蝶 テーマ:年上

    閉店したショッピングモールの屋上のベンチに、男女が寄り添って腰掛けている。   二人の足先には青いイルミネーションが波打つように輝いており、闇に浮かぶ建物はまるで大きな船のようだ。   少女は、小麦色の冷たい手をぎゅっと握りしめた。男は、少女の短い黒髪を優しく梳く。   恍惚とした表情を浮かべる二人を見れば誰でも、映画のワンシーンを思い出すだろう。   そして、少女の鞄には高校の生徒証、男のリュックには、人懐こい顔をした好青年が写っている、スイミングスクールの