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映画レビュー[オレンジ・ランプ]若年性認知症

若年性認知症と診断された男性の物語。

苦手な映画にありがちな
[始まりに異様に時間をかけ、終わりに時間配分をミスしたようにドタバタし、雑でよく分からない結末]
が無くて良かった。

少しは茶番はあるものの、さっさと本題に入ってくれる。

どんな自覚症状があるのか。
本人から世界がどう見えるのか。
どんな対処法をとったのか。

主人公は、前日と同じバームクーヘンを買ってきたと家族に指摘される。

仕事で顧客とすれ違ったのに気づかないでクレームが入る。

どこに電話をかけるのか分からなくなる。

成績優秀な営業マンだったので、症状により仕事に支障が出る。
営業先担当を外される。
子供2人の教育費を稼がなければならないのに。

本人も妻も、インターネットや図書館、市役所で調べる。

妻は気を遣い、腫れ物扱いしてくる。過剰に何もさせないようにした為、本人はとても居心地が悪い。もやっとした間が生じる。
しばらく我慢していたが、ついに怒りが爆発する。
[徘徊すると思ってるんだろ!]

そんなことを言ったのにわりとすぐに外から家への帰り道が分からなくなってしまう。

その時の描写が良かった。

眩しくて周りの景色がふわっと霞んで見える。
道が分からなくなった事で混乱し、不安に苛まれ、頭を抱えて道にしゃがみこむ。
真っ暗な中、公園のベンチに座って俯いている。頭を抱える。
妻が探しに来ると、抱きついて号泣した。

私の住む地域でも、市役所からの有線放送で行方不明者の身長や服装の特徴が流れる。
その日の終わりに[見つかりました。ご協力ありがとうございました。]と流れる。
いつも不思議に思っていたのは[困っている人]はどんな様子で発見されるのか?見て分かるものなのか?

一例には過ぎないがこんな様子なら困っていることが分かるな、と思った。

そして主人公は自助グループに参加して、同様な症状を持つが一見そうは見えない元気そうな人達に出会った。不安と絶望に満ちた話を聞いて貰った。グループのメンバーにかつて自分もそうだったこと、今は工夫してやりたいことは諦めていないことを聞いた。


やりたくてできることはやり、できないことは周りに助けを求めていいのだと知る。

受け入れたことで行動がどう変わったかは是非、映画を見てみて欲しい。

ツッコミ処はあるけど、それも楽しみながら。












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