何度読んでも面白い「警官の血」佐々木譲
出版当時にハードカバーで買って、重たい思いしながら片時も離さずにあっという間に読んだ本、久しぶりに読みたくなって文庫を買って読みました。
親子3代に渡る逃れられない警察の業と戦後間も無く殺された青年の死と初代の死を巡る謎……。
謎も面白いんですけどその当時を生きたのかというくらい生々しい描写がいいんですよ。
戦後の上野、学生運動、四課。
好きな要素が全部詰まりに詰まった私のために書いてくれたのかと思う程。当時は寝ずに読んで興奮してもう一回読んだほど。
最近やっと通勤時間を有意義に使えるようになったのでこれは好きな本を読むところから始めようと買ったんだけど朝読んで、昼休み読んで、帰りに読んでたら2日で読み切ってしまいました。
若い頃はその危なげなそれぞれの時代にドキドキしてたんだけど、今はそこに子の親を見る目とか、親の見せたい背中とか、組織の煩わしさとか目に止まる描写が増えていて味わいがマシマシ。
読書のいいところは読む時の自分が測れるところが一つあると思ってたけどまさにそれを感じられて良い読書体験ができました。
韓国で映画化したのを帯で知ったけどタイトルハングルで読めなくてサブスク動画配信サービスにあるか調べられていません。
ちゃんと調べなきゃな。
重厚で、ひりつくような主人公の思いが眼前に迫ってきて映画を見るように画面が脳裏に浮かび上がるのに全く余計な枝葉がなくて、ミステリとして伏線が張られているのに最後の最後まで飽きさせないんですよ。
それぞれに奥さんないし恋人がいて、その関係性にも目が離せないんです。
女と男って……ていう読み方ができる日がくるとは思わなかった。
良い本ない?って聞かれたらこれを真っ先に伝えたいけど少し猥雑な雰囲気があって女性におすすめできないのが悩み。
昔読んだ本を読み返して自分の成長を測る楽しみにハマりそう。
結婚する時に持ってきたまま読んでいない本たちを久しぶりに読んでみようかな。