ローストと抽出は繋げて考える。
ボクは焙煎士なので、ローストから見た抽出の説明をしたいと思う。
まず、ローストは仕入れと密接に繋がっている。
ローストでコントロール出来ないフレーバーの登場する豆は仕入れない方が良いからだ。
いわゆるダメージのあるものであったり、劣るフレーバーがあるものを指している。
そういう素材を仕入れないことで、ローストが活かされるからである。
そのような良質な素材の仕入れから始まっている美味しさには、ローストの熱量を過度に与え過ぎないような適性のローストを施すことで、クリーンな酸味やフレーバーを登場させることが出来るようになる。
これまでの話を論理的に考えられる人ならば、これまでの話の中で仕入れから始まる味づくりに3つのタイプが見えているはずである。
その内の2つは、抽出で必要以上に成分を抽出してしまうと、なんらかの雑味が登場してしまうため、ドリップ式などの抽出の温度をコントロールできるもので抽出時間が短めのものが、抽出で成分の登場を抑制できるため、そういった抽出法を採用する方が良いと理論的に考えることができる。
しかし、素材のダメージの登場しない豆を使用し、適正なローストの熱量が与えられたコーヒー豆の場合には、抽出温度を高くし、抽出時間を長くできる抽出を選ぶことが理論上良いと判断することができる。
当店が選ぶ抽出法は、浸漬式である。
その理由は、生豆のポテンシャルも判断できるし、なによりボクのローストによる味づくりまでがしっかりと見ることが出来るためである。
そのために100°Cの熱湯で4分間浸して抽出するだけである。
このように、ローストと抽出は繋がっているので、どのようなコーヒー豆をどのようにローストされたのかで、抽出器具は選ぶべきなのだとボクは考えている。
コーヒーショップでは、お店ごとに推奨する抽出法があるので、気に入ったコーヒーショップが見つかったのなら、そのコーヒーショップで推奨している抽出法を採用し、ご自宅で抽出することが一番理にかなっている。
抽出にこだわるのではなく、ローストと抽出を繋げて考えられるようになると、自然に抽出法は選べるようになってくる。
すべては繋がっているので、繋がりの中から理論的に考えそして検証することで、選ばれたモノを採用することが”美しい”という美味しさを登場させるためには必要なことなのだと気づくはずなのです。
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