【織々ノ記】#75 PDFとスリップと検印
2023年5月17日
今日は午前中に文フリの準備を、午後は大学に行って演習の発表の準備をしようと思っていたが、想定以上に文フリの準備が長引いてしまって、結局1日それに時間を費やしてしまった。
長期戦となった1番の理由は、PDFとの大乱闘である。
今回の文フリでは無料配布として全16ページの中綴じ冊子を制作することになったのだが、今日試しに自宅のプリンターで印刷してみたところ、なぜか白紙で印刷されてしまい、その原因究明に四苦八苦した。
私の場合、今まで原稿は全てwordで作成して、それをPDFに変換してから印刷業者さんに入稿したり、あるいは自宅で印刷してきた。
テキストボックスだけ何故か印刷されないというトラブルは以前から時々発生していたが、今回は本文の部分も全て印刷されずかなり解決に窮してしまった。
奮闘すること1時間弱、これまではwordの印刷画面→PDF化していたところを、詳細画面で「save as Adobe PDF」を選択してPDF化したところ、きちんと印刷されることに気付いた。
今回がたまたまなのか必然なのか分からないが、もし同じような症状で困っている人がいて、その解決策になるのであれば幸いである。
今日はテスト印刷で終わってしまったので、明日か明後日あたり本格的に印刷・製本したい。何部印刷すればいいのか検討もつかないので、30部近く作成しようと思っているのだが、果たしてインクが保ってくれるかなかなか不安ではある(特に表紙がカラーなので)。
午後の作業は、冊子の印刷のためにA4の用紙をA5にカットしたり、「スリップ」を作成したりがメインの作業だった。
スリップについては、去年の文フリ初出店のだいぶ前に、同人誌作成に向けてやってみたいことをまとめた記事で触れていたのだが、今回ようやく実現するに至った。
スリップは売上の管理や、取次・出版社に対して補充注文するために本に挟む紙片で、最近ではそれらをデジタルで管理することになって、すっかり姿を見なくなってきた(それでもまだまだ本屋に行くと健在のようでもある)。
そもそもスリップは書店で購入した際に店員さんが抜いてしまうので、我々読者の手元に残らないはずのものである。ただ、オンラインで買ったりすると時たまスリップが挟まったままで、栞代わりに利用することもある。
なので、同人で本を出版する上では全く必要ないのだが、以前togetterでスリップをオマケとして活用する例を見て、自分もやってみようと思った(なお、このtogetterの主さんは現在非公開アカになっているので写真は見れない)。
このまとめでは、印刷会社のグラフィックさんで制作していたのだが、入稿がIllustratorでしかできないようだったので、今回はデザインから印刷・カットまで全て自分1人で挑戦することにした。
なんちゃってスリップだが、できるだけ本物にデザインを寄せてより「それっぽさ」を出すように工夫した。取次や書店が印を押す欄があるのだが、今回は同人出版なので、文学フリマで販売したことを示す印を勝手に自作した。
ただ、挟むだけではもったいないので、裏面には感想募集フォームのQRを記載した。もしお買い上げ頂いた際には、ぜひ感想を寄せていただければ幸いである。
カットして一応完成したものの、1冊ずつ本に挟む作業がまだ残っている。まあ、当日会場で暇な時間に作業すれば大丈夫かなとは思うが。
沢山の人が来るわけでもなく、在庫もそんなに多くない小規模サークルだからこそできる工夫だろう(在庫が50部100部もあるサークルはこれを挟む作業だけでも相当しんどいと思う)。
ちなみ先述のnote記事では「検印」にも言及しており、そちらは前回の文フリで出店した時に既に実現済みである。ただ、あまり宣伝文句として語っていなかったので、今回紹介しようと思う。
書籍の検印は、かつて著者との契約以上に本を刷って、その差額分を勝手に売上にしていた悪徳な出版社に対して行なわれていた対策だ。著者側で契約した部数分の印紙を作成して、余分な印刷をできないよう抑制していたわけである。
出版業界の環境が改善されたことで、今時検印をしている出版社や作家はほとんどいないと言っていいだろう(「検印廃止」と律儀に明記する出版社はまだ存在するが)。
さきほどのスリップ同様、本を出版する上での必須の条件では確かにない。ただ本をより「本たらしめている」要因がこの検印なのではないだろうか。
というわけで、前回の文フリでは、検印として全ての書籍に写真の判子を奥付に押印している。「橘」の印でも良かったのだが、検印って結構読めない難しい文字がデザインされているイメージがあったので、ペンネームとは別の雅号を考えて印にした。
こちらもぜひ実際に作品を手に取って、それぞれの目で確認してほしい。
今回は日記というか、文フリ告知の追加情報になってしまった。まあそういう日があってもいいのだけれど。
余談だが、文フリ会場でショップカードを沢山配れるようにグラフィックさんで補充注文をしたのだが、なぜか5日後発送で注文したのに、2日後にはもう自宅に配送された(グラフィックさんの本社は京都)。
しかも100枚で注文したのに、130枚ぐらい入っていて何から何までお得に印刷することができてしまった。理由は分からないがありがたいことである。
グラフィックさんは、入稿の仕方がわかりやすいし、原稿のセルフチェックも直感的にできるので、おすすめである(ポストカードや名刺などの小物しか注文したことがないので、冊子などの出来は分からないが)。
(了)