コーヒータイム、マンネリにスパイスを
19歳の時、喫茶店で働いていた。
店内の中央には大きな時計が掛かっており、1時間おきに鐘がなった。
お店はガラス張りで、日がよく入り、店の端には陶器が置かれ、買うこともできた。
今思うと、とても雰囲気の良い喫茶店だったと思う。
19の私はまだコーヒーの美味しさを知らず、飲む時は牛乳と砂糖たっぷり。
たてたコーヒーとインスタントの違いも分からなかった。
しかし、そこでのまかないにはいつもコーヒーが付き、
牛乳ではなくポーションミルクであったため、最初は本当に苦手だった。
砂糖を入れてもなかなかまろやかにならなかった。
しばらく、そんな日々が続いたのだが、ある晩、家に帰るとコーヒーが飲みたいのである。
あの、お店のコーヒーが。
明日飲めるけど、もう今飲みたい。
私の舌はいつしかその店のコーヒーに魅了されていた。
それから、牛乳じゃなくてもコーヒーが美味しいと感じるようになった。
コーヒーの淹れ方も教わり、少し家でもできるようになった。
今もコーヒーが好きである。
けれど、妊娠してカフェインレスを飲むようになり、授乳してる間もずっとカフェインレスにしていたら、カフェインをあまり受け付けなくなってしまった。
飲むと全然眠れないし、体がだるいような感じがするのだ。
何度か試してもそうなので、もう諦めてカフェインレスコーヒーを飲んでいる。
昨日、家族で成城石井で自分の好きなデザートを買おうということになった。
それならコーヒーも買おう。
旦那がいつも家で飲んでるコーヒーじゃないのを飲んでみようと言う。
いいねー。
カフェインレスは売ってる種類が少ないのでいつも同じものを買っていたのだが、冒険してみることにした。
飲んだら、うまい。
いつもと違うからか、いつもより良い値だからか、そのどちらもか。
うまい。カフェインレスじゃないようなコクがある。
カフェインレスはカフェインありに比べて味が落ちることがほとんどだと思っていたので、このうまさは嬉しかった。
コーヒーにしてもだけど、マンネリしてしまうことって多いにある。
大人になるといつものやつが落ち着くし、失敗を恐れて新しいものに手を出さない場合も多い。
どんどんチャレンジしていく人もいるのだろうから一概には言えないが、
私はそういう刺激のない安心な方を選びがちだ。
時々こうして日常に冒険心を入れても良いじゃないか。
それは今遠くへ行きずらい世の中に大切なことだったりするのかもしれない。
同じところ、同じもの、その中にまだ知らない何かはあって、
知ろうとしなくては知れないけど、少しの好奇心は発見につながったりする。
大げさ?かもしれないけど、
ちょっとの嬉しいから発生する思いや考え、そしてそれを話したりする。
マンネリな日々に少しの気付きというスパイスを加える。
なんか、気持ちいいな。
そんなことを感じた祝日でした。