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【創作小説】まわれ!今川やきくん!フィンランド の巻⑵


サラサラ。サラララ〜。


「何が降って来たんだぁ〜!?」

「ぺぇ〜え!?」

「ん?…この茶色い粉…クンクン…クン。こ、この においは…」

「ぺぺ…」

「あああ!わかった!! 京都の名物『お○べ』のにおい!!」

「ぺ?」


「うふふふ。キミはおもしろいことを言うね!これはね、シナモンだよ!」

「え?ん?…あ?…ああ、シナモン?」


「そうだよ!でも、日本の お○べ に昔から使われるニッキとは 植物の種類がビミョーに違うんだ」

「そ、そうか…。キミたちが シナモンを降らせたのかい?」


「そうさ!キミが『寒い』って言ってたから。シナモンは からだを 温める効果があるんだ!」

「へっええ〜!そ、そう言われてみれば、なんだかオレの体、ポカポカして来たような…」


「良かったね!」
「良かったね!」

「ありがとう!キミたち!ん?ところで キミたちは だれなんだい?」


「ボクたちは サンタクロースさんを手伝うコビトだよ!」

「え" !?  サ?…サンタさんの!?… サンタさんの手下(てした)だってぇ〜!?」


「手下ぁ? んんん!サンタさんの、お・て・つ・だ・い!! トントって言うんだ!」

「そ、そうか…トントさん…。それで トントさんたちは 何を手伝っているんだい?」


「サンタさんは クリスマスだけじゃなくて、一年中 忙しいんだ」

「そうそう! 世界中の子供たちから届く手紙を読んで お返事を書いたり、ソリの手入れをしたり、トナカイさんのご飯や世話をしたり…訪れてくる子供たちと会ってお話したりしてるんだ」

「なんだ…。サンタさんはいつも忙しいのか…」


ちょっとガッカリそうな今川やきくん。
もしかして 何かたくらんでたんじゃ…?


「だから ボクたちは そのお手伝いをしてるのさ!」

「今日は サンタさんが 大好きな ‘ ライスポリッジ ’ って言う食べ物を作るために、ここへ来たんだ!」

「ライスポリッジ?何だ?それは旨いのか?」


「うん!とっても美味しいよ!ライスポリッジは お米に 牛乳と砂糖を入れて煮た おかゆ みたいな食べ物で、シナモンやブルーベリーをふりかけるんだ」

「フィンランドでは 必ずクリスマスに食べる伝統的な食べ物さ!」


「伝統か。ここにも伝統があるんだな!なら、そのライスポリッジは “心の希望 ” の味がするんだろぉーーなぁーー!」

「 “心の希望 ” の味?」


「未来の子供たちが受け継ぐ 伝統の味!」


「う〜ん…。なんだか ややっこしい味だね。とにかく フィンランドの ‘ おふくろの味! ’ さ!」

「あ、ほら!やっぱり! 心の味だぜーーーー!」


「あ!そうだね!あったかい心の味!」


「シナモン ふりかければ、もっと あったかくなるぜーー!」

「ふふふ。そうなんだけど…。クスノキは なかなか見つからないな…」

「クスノキ?」

「そう。シナモンは クスノキの木の皮から 作られるんだ」

「へっええ〜!木の皮なのか!」


「シナモンが サンタさんの家に 残り少なくなってきたから、森に探しに来てみたんだけど…」

「そう。クスノキがどの木だか ボクたちには 分からなくて。家にあった残りのシナモンを持って おんなじ香りのする木を 探してたんだ」


「そうだったのか…。残り少ないのに、オレにふりかけちゃって 良かったのかい?」



「大丈夫だよ!サンタさんは そんなことで怒らないさ!」

「そうか…。なら、オレが サンタさんに会って、キミたちが してくれたことを 話そう!」


「え? 本当? ありがとう!」


「よっしゃ!それじゃ、ペーちゃんに乗って、さっそくサンタさんの家へ 行くぜーーーー!!」

「うん!行こう!」
「行こう!」

「ぺっぺーーーー!」



続く

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