ホットケーキはなぜふくらむ?【「おいしい」科学】
温度差の化学を知ろう
ホットケーキはなぜふくらむ?
炭酸水素ナトリウムから炭素ガスが発生
「ホットケーキの粉に卵と牛乳を入れて……。」
「焼きはじめると大きくなるけど、どうしてだろう~。」
「ふくらし粉から二酸化炭素ができたり、卵を加《くわ》えるとその空気をふんわりさせたまま、かためてくれるからだよ。」
まずはホットケーキの材料を知ろう!
ホットケーキというのは、小麦粉に卵やベーキングパウダー、砂糖、牛乳、水といった材料を混ぜて焼いたものです。家ではすでに材料がブレンドされている、市販のホットケーキミックス粉をつかうことも多いと思います。これは、小麦粉(おもに薄力粉)をベースに糖類(砂糖、ブドウ糖、粉末水あめ、麦芽糖など)、ふくらし粉(膨張剤)などが配合されているものです。
ふくらし粉とは名前の通り、おもに小麦粉をつかった料理をふくらませる材料で、重曹、ベーキングパウダーなどがつかわれます。パンづくりでは、ドライイーストがよくつかわれますが、これはイースト菌という酵母で発酵させてふくらませるものです。
▶ホットケーキはなぜふくらむのか
「炭酸水素ナトリウム」の働き
ホットケーキミックス粉につかわれているベーキングパウダーのおもな原料は、アルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)です。この炭酸水素ナトリウムを加熱すると化学反応で、①炭酸ナトリウム、②二酸化炭素、③水の3つの物質に分解されます。この二酸化炭素が発生することで、ホットケーキのなかで小さな気泡となって生地をふくらませ、ふんわりとしたホットケーキが焼きあがるというわけです。
ミックス粉は卵をつかわなくてもおいしいですが、卵を入れるとよりふっくら感が増します。それは、卵のタンパク質が熱でかたまる性質があるためです。重曹から発生した気泡がつぶれる前にかたまるため、より舌触りよくやわらかい食感に仕上がるのです。
▶炭酸水素ナトリウムを加熱すると……
ベーキングパウダーの秘密
実は、ふくらませるだけなら重曹だけつかっても十分です。ところが、ベーキングパウダーには重曹のほかに「酸性剤」と「遮断剤」が含まれています。これはどうしてでしょうか。
酸性剤とは重曹に作用して、分解のスピードやガスが発生する温度を調整する働きをしています。いわば、炭酸ガス発生を促進させるサポート役といえるものです。代表的な酸性剤には、酒石酸・クエン酸・ミョウバンなどがあります。
遮断剤とは、ミックス粉を保存しているときに、ガス発生剤と酸性剤が反応してしまうのを防ぐために加えられ、コーンスターチ(とうもろこしのデンプン)などがつかわれます。
まとめ
☐重曹から二酸化炭素が発生
☐卵で気泡を閉じ込める
☐重曹+卵でふっくら
書誌情報
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