先生となんこつ|連載「記憶を食む」第11回|僕のマリ
夜、走っている。五月下旬は気候がちょうどよく、植物の瑞々しくて青い匂いも含めて気持ちいい。運動音痴でどんくさいわたしだが、走ることは苦手ではない。球技はセンスがゼロで戦力外だったが、走るのが意外と速いのは、遺伝と高校時代の走り込みが効いたのだと思っている。わたしの母校は普通の公立高校だが、スポーツに力を入れていた体育会系の学校でもあった。運動部の人口が圧倒的に多く、制服よりジャージ姿の生徒の方が目立った。運動に関する行事が多く、体育祭はもちろん、水泳大会や球技大会、冬はマラ