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読書記録『翻訳できない世界のことば』

過去に英語ができない日本人ノーベル賞受賞者がいたように、日本では日本語ができなくても基本的に会話や勉強で困ることはありません。それはあらゆる言葉を日本語に翻訳してきたから。もともと日本になかった物や文化、概念に対しては新しく言葉を作ったり、俗に言うカタカナ語、外来語としてそのまま輸入したりなど、日本語として扱えるようにしてきた結果です。

だからちょっとピンとは来ていなかったんですが、世界にはその国に根付いた特有の言葉、いわゆる『翻訳できない』言葉があります。

翻訳できない世界のことば
(エラ・フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳/2016.4/創元社)

読んでみて納得なんですが、「これを表す言葉があったんだ!?」と驚いたり、それを一つの言葉で表現・許容しようとしたことに感動を覚えたり……。翻訳をしようとしても、既存の日本語で表現するのも難しく、新しく言葉を創るのはさらに難しい、ということばばかりでした。

私が特に好きだったのは、この二つ。

モーンガータ
水面にうつった道のように見える月明かり。
(スウェーデン語名詞)
グラスウェン
直訳すると、「青いほほえみ」。皮肉であざ笑うようなほほえみのこと。
(ウェールズ語名詞)

ちなみに、日本語では「木漏れ日」「ぼけっと」「積読」が挙げられていました。確かに、これ、英語だとどう表現するんでしょうね?

外国の翻訳された本を読んで他国の文化を完璧に知った気になるときもありますが、きっと翻訳した言葉には拾い切れていないその国の文化や思想、歴史が含まれているんだろうなぁと改めて思います。書いていて、初めて『不思議の国のアリス』を読んだときのことを思い出しました……あれ英語を前提とした言葉遊び要素が多分に含まれているので、日本語訳だと変なところがいっぱいあるんですよね。それはそれで楽しいですが、日本人が読んだ『不思議の国のアリス』と、イギリス人が読んだ『不思議の国のアリス』は、きっと全く違うものなのだろうなと思います。

ちょっと横道にそれましたが、今日はこの辺で。
次の読書記録で会いましょう。それでは。

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神崎翼
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