なぜ、「料理」と向きあったのか
2018年、自分の中のテーマで「過去と向きあう」というものがあった。
過去を振り返らない、振り返りたくない。
「前」と「今」だけを見ていればいい。
そんな風に生きてきた。
でもそれは、単に思い込んでいただけなのかもしれない。
転職や離婚、会社経営・・・うまくいかないこと続きの人生の過去を見ないふりをしたかったのかもしれない。
今年は、過去と向き合い、受け止め、消化しないと前に進めないような気がした。
料理と向きあうことにしたのも、このやっかいな「過去と向きあう」という自分のテーマのひとつのため。
料理人だったわたしは、「料理」を通じて、「過去」とアクセスし、対話ができると思ったのだ。
では、どう料理と向きあうか。
1人暮らしなので、料理は毎日作っている。
なので、「五感を取り戻す」を課題とした。
つまり、自分が作りたいと思うものだけを作るということだ。
料理人だったころの料理は、原価に縛られ、売れるかどうか、味やボリューム、コストパフォーマンスといったビジネスの枠に縛られていた。
家で自分だけで作る料理は、いかに簡単で手が抜けるか、いかに効率よく短時間でできるか、必要な栄養さえ取れればいいといったまるでエサのような料理を作っていた。
その結果、料理を作るということに何も関心がなくなっていた。
スーパーに行っても、毎回同じような商品をカゴに入れる。
そんな無感情なルーティン。
そんな自分の行動は、自分の感性をじわじわと殺していたのである。
自分の好きなこと、楽しいこと、やりたいこと、作りたいことを置き去りにした。
自分を満たさなかった。
これは料理だけではない。
仕事、趣味、すべてがそうだ。
自分を満たさなかった結果、何が起こったか。
自分の在り方・生き方までもを蝕んだのだ。
じわじわと自分を殺したのだ。
熱湯になっていることに気がつかない茹でカエルのように。
そのツケや犠牲を、今年はいいかげん払わなくてはいけなくなった。
そのツケや犠牲を払うために、わたしは「料理」というカードを使うことにした。
自分の五感を取り戻す。
ただ、作りたいものを作る。
五感を使って素材と向き合う。
向き合うことで、自分と対話する。
その対話の結果が、できあがった料理である。
つまり、それが「自分」である。
美味しい料理を作りたいのであれば、クックパッドや料理番組のレシピ通りに作ればいい。
ただ、それはレシピのコピーである。
レシピの確認作業に過ぎない。
再現性能力が高い人の料理だ。
求めているのはそこではない。
自分の思うがままに料理を作る。
皿に盛る。
思い通りにいかないことも多い。
無形から有形にできない。
でも、それも大切な過程。
料理の写真をアップすることで、変化もあった。
まずは、人から話かけられることが増えた。
料理の話は、雑談だ。
仕事以外の話、つまり雑談が増えると、コミュニケーションがグッと広がる。
そして、(たぶん)イメージがアップした(笑)
職質常連の外見、話下手なので何を考えているかわからないと昔からよく言われた。
でも、料理の写真を見せることで、相手の表情から警戒心が消え、安心した笑顔になる。
料理に「自分」が反映されているからだ。
クックパッドの料理を作っていては、自分の名刺代わりにはならない。
でも、いいことばかりではない。
「こんな料理の写真をアップすると、もっと彼女ができなくなる」という声も多くいただきました(笑)
そうなんだ・・・
けど、この意見はちょっと無視する(笑)
自分の過去と向きあう。
そのために、料理を作る。
今年のこのアプローチは意外とよかった。
来年ももうすこし続けていきたい。
わたしの料理は、下記インスタグラムアカウントでアップしています。
よかったら見てください。